活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

心の声との付き合いは自分と他人問わずに難しいものであること。

こんにちはしろはです。

今回は『月の裏に望む』(ことわ荒太/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

他人の闇を覗き見る快感。
全てが上手くいっているはずなのに、何か足りない…。仕事で。家庭で。恋愛で。決して見ることのない、月の裏のような闇を抱いて生きる人たち。
このままで良い訳がない。だけどもう、やめる事も出来ない。何かが欠けている日常から逃れるように、強く依存しあっていく。
全ての人物の抱える闇が明らかになったとき、あなたは必ずこの物語を読み返す事になるだろう。(本書より引用。)

 

人物紹介

今回は短編集のようで,実は人物が輻輳(正しい表現なのかわかりません…。)していく驚きを体験していただきたいので,人物紹介は割愛します。

ですが,初見でも決してわかりにくい展開ではないのでご安心ください。

 

感想・総括

今回は鎌倉を舞台とする多視点で描かれる話です。

最初は短編集かな?と思わせるような始まり方をしますが,徐々に同じ世界線で描かれた話であることが分かってきます。

やはり,こういう仕組みの本は二度目が読みたくなってしまいますね。

 

月の裏に望むという意味ありげなタイトル名にも考えさせられるものがあります。

人には他人に理解しえない一面があるってことなんですかね?

あくまで私の解釈ですが,人付き合いって難しくもなんて美しいものなんだと再認識しました。

大人ならではの恋愛も描かれるのですが,馴染みがないので難しかったです(笑)

私も心の内と外でうまく制御しないといけないなぁと思いました。

 

同じ作者さんの作品で"ジュン丸,お前…。"も読みましたが,ここまで文章表現が違うのでしょうか。

全く違った情景描写や心理描写でありながらも,どこかで暖かい気持ちになれます。

sh1roha468.hatenablog.jp

 

私は第4章の話が一番好きでした。

最後に私の好きな表現を紹介して終わりにしようと思います。

自分を育てるのは,結局は自分しかいないのだから。周りの人達が沢山のヒントをくれたとしても,それを実践するしないは自分の問題。

やらない私から,やる私へ。他人のせいにして生きるのはもう終わりにしよう。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

少しでも前向きになれる一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『生きてさえいれば』(小坂流加/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

「生きていなくちゃ、悲しみや絶望は克服できないのよ」――大好きな叔母・春桜(はるか)が宛名も書かず大切に手元に置いている手紙を見つけた甥の千景(ちかげ)。病室を出られない春桜に代わり、千景がひとり届けることで春桜の青春の日々を知る。春桜の想い人(秋葉)との淡く苦い想い出とは? 多くの障害があった春桜と彼の恋愛の行方と、その結末は?(本書より引用。)

 

人物紹介

春桜(ハルカ):ファッション雑誌のモデル。心臓が悪い。

秋葉:キャンプサークルで春桜と出会い,いきなりプロポーズされた。

千景:ハルカの甥。小学6年生。自殺を心に決めていた。

 

感想・総括

今回は大学生のボーイミーツガールが主題となったような話です。

最初は春桜の甥である千景視点で物語が描かれますが,作中のうち大多数は秋葉視点の構成となっております。

 

タイトルにもあるように,少々重い表現も出てきます。

人の死や病気が出てくると,やはり少々読んでいて辛くなってしまいます。

ただ,個人的にはどうしても春桜に感情移入できない点があってなんだかなぁと思っていました。

ジンという秋葉の友人が出てくるのですが,私はこのキャラが好きでしょうがなかったです。

この頼りになる相棒感が最高でした。大学生活を彩ったものにしています。

 

でもこの作品は文書一文一文の表現が何というか美しいんですよね。

この言い方が合っているのかはわかりませんが,スッと胸の内に入ってくるような心地よさがあります。

私はこの作者さんの作品は初めてでしたが,他の作品も読んでみようと思います。

結末は少々,読者側に展開を予想させるようなものとなっておりますので,そういうものが苦手な方には物足りない作品かなぁと思いました。

 

最後に私の好きな表現を2つ紹介します。

「友達は役に立ったり立たなかったりするもんとちがうで」

生きていれば。"ほんとうの幸"を見つける旅が続けられる。

私も私自身でしか歩むことのできないこの旅を楽しもうと思いました。

ジンみたいな友人でありたいとも思いましたね(笑)

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

久々に買いたいものがある話。

こんにちはしろはです。

今月の独り言ブログでは「私がここ最近で欲しいもの」について紹介します。

 

私が欲しいものは"ガラスペン"です!

 

ガラスペンとは

つけぺんの一種で,ガラス製のペンである。1902年に日本の風船職人である佐々木定次郎によって考案された。(Wikipediaより引用。) 

まぁこれに関しては読むより見た方が早いですよね。

このようなペンです。

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ガラスペン(Wikipediaより引用)

この見た目素晴らしいと思いませんか?

なんとなくしか知らなかったのですが,偶然ネット上で見かけて一瞬で欲しくなりました。

 

欲しくなった経緯について

私は学生の頃から結構文房具とか好きでした。

店に行って握りやすいペンを探したり,友人の珍しい文房具に興味をもったりとか結構ありました。

ただ,社会人になってからは文房具を手に取って字を書く機会がめっきり減ってしまって。

そういう機会が減ってしまったからこそ何かで字を書くきっかけが欲しかったです。

そんな時に出会ったのがこのガラスペンという存在ですよ。

部屋の中に置くもよし,インクを自分ならではのアレンジをするもよし,複数のインクを集めてコレクションするもよしと最高すぎませんか?

同じように(個人的には)オシャレな文房具として君臨する万年筆はすでに持っているので,次はガラスペン買うしかない!!となったのがきっかけです。

 

行きたい店があること

じゃあ買いに行けばいいのでは?という流れになると思うのですが,私は伊期待というか行ってみたいお店があります。

 

それは都内大東区にある"カキモリ"さんです

たのしく、書く人。カキモリ – Kakimori

ここはなんと,ペンだけでなくノートまでバリエーション豊富なようです。

え?オーダーインクだけでなくオーダーノートなんてして良いんですか??

行くだけでも楽しめそうですし,せっかくならペンとノートで揃えて買いたいです。

今から楽しみで楽しみでしょうがないです。

 

まぁ昨今のコロナ禍がもう少し落ち着いてくれればすぐにでも行きます。

越県するのが個人的にどうしても抵抗感がまだまだ拭えなくて。

今のうちに頭の中でたくさん想像しておきます(笑)

 

ではこの辺で!

閲覧くださり,ありがとうございました。

一風変わった世界観で描かれる恋愛作品。

こんにちはしろはです。

今回は『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!(本書より引用。)

 

人物紹介

黒髪の乙女:京大一年生。どこか抜けた天然少女。

先輩:京大三年生。密かに黒髪の乙女に思いを射はせる。

 

感想・総括

今回は夢か現実かわからないような世界観で描かれるファンタジーな恋愛作品です。

名称のない"黒髪の乙女"と"先輩"の視点が交互に場面展開されていきます。

以前,私は本書の著者である森見登美彦さんの作品で"ペンギン・ハイウェイ"を読みましたが,それとは異なった世界観です。

 

私は勝手にレトロな雰囲気なのかな?と想像して読んでいました。

独特な世界線へどんどん引き込まれていきます。

おいおい,こんなこと起こらないだろという出来事も発生し,思わずクスリとしてしまうことも。

とは言っても恋愛小説であることは間違いないので,もどかしいなと感じてしまうこともしばしば。

先輩の執念深さにはストーカーまがいの雰囲気ありましたけどね…(笑)

サブキャラクター達もあだ名からキャラ性まで独特で魅力的な方々がたくさんです。

 

森見登美彦作品ならではの世界観を楽しんでいただけたらなと思います!

私は機会を見つけて映画版も閲覧してみようと思います。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

自分の生活に何か光の射す一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『ジュン丸,お前…。』(ことわ荒太/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

自分で決めた将来を生きているはずなのに、心の溝が埋まらない。
三十路を目前に控えた高校教師・佐藤マリナは、将来を見据えた恋人の同僚教師・三野宮に浮気の疑念を抱きつつ、それを確認する勇気もなく鬱々とした日々を過ごしていた。
つまらない…。仕事も辞めてしまいたい。いっそ何もかも投げ出してしまおうか。
そんな破れかぶれなマリナの人生を救ったのは、一人の天才バスケ少女との出会いだった。(本書より引用。) 

 

人物紹介

佐藤マリナ:通称"ホッカイのマリ"。"ヴィーナス・スリー"と呼ばれるシュートを放つ。

現在は女子高で古典を担当する教師。

純丸亮太:通称"ジュン丸"。英語の教師。話し方や抑揚がなく感情がわかりにくい人物。

高山アズサ:マリがコーチとして面倒を見ている小学六年生の天才バスケ少女。

菅原アヤカ:皆からはアヤと呼ばれる。幼い頃からマリと一緒にバスケをしていた。

 

感想・総括

今回はバスケットボールが一つの題材となった作品です。

物語の冒頭は味気ない日々を過ごす教師のマリから始まり,"ホッカイのマリ"がアヤと共に青春を彩った日々,そしてマリが大きく人生を変えていく様というように展開されます。

私自身,表紙にあるバスケットボールから「バスケットボールの話かな?読んでみよう。」といった安直な理由からこの作品を読み始めました。

私自身,青春時代にはバスケットボールに明け暮れた日々を過ごしたので,本当に心の底から懐かしいなという気持ちが止まりませんでした。

バスケットボール特有の言葉や音だけでなく,それ以外の場面展開や心理描写などからも情景が手に取るように伝わってくるんです。

バスケを見るのがとても好きなのでこの疾走感が文章でも味わえるのは最高の一言です。

私は類まれな才能があったとは思いませんでしたが,もっと努力していればまた違った結果もあったのかなぁと思わず感傷に浸ってしまいいました。

 

タイトル名だけを見ると全く話の想像が尽きませんよね…(笑)

このジュン丸という人物が非常に良いキャラで,彼が主人公なのかもしれないなと思いました。

普段はお茶らけているようで,時には応援して背中を押してくれる様が非常にかっこいいと思いました。

マリの相棒であるアヤも良いキャラしているんですよ。

この作品を通して,努力することの大切さを一番教えてもらった気がします。

 

複数視点から描かれるサクセスストーリーを楽しんでください。

きっとバスケを知らない方でも楽しめると思います!

 

評価は 5.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

終末医療について考えさせてくれる一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『いのちの停車場』(南杏子/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

東京の救命救急センターで働いていた、六十二歳の医師・咲和子は、故郷の金沢に戻り「まほろば診療所」で訪問診療医になる。命を送る現場は戸惑う事ばかりだが、老老介護四肢麻痺のIT社長、小児癌の少女......様々な涙や喜びを通して在宅医療を学んでいく。一方、家庭では、脳卒中後疼痛に苦しむ父親から積極的安楽死を強く望まれ......。(本書より引用。)

 

人物紹介

白石咲和子:東京の救命救急センターで勤務していた医師。

あることから故郷の金沢に帰って在宅医療を担当することになる。

野呂聖二:医師国家試験に落ちた浪人生。自分のミスから咲和子を追って金沢に来た。

仙川徹:咲和子より二歳年上で,父からまほろば診療所を継いだ医師。

玉置亮子まほろば診療所の事務担当。

星野麻世まほろば診療所の看護師。

 

感想・総括

今回は在宅医療が一つのテーマとなった話です。

序盤は救命救急センターならではの緊迫感のある医療現場が描かれます。

在宅医療が救命救急とは明らかに違うものであることから咲和子にも戸惑いがうかがえます。

 

なんとなく結末は誰々に関する在宅医療なんだろうなぁ,と思って読んでいましたが,それでもやはり辛いものでした。

ネタバレをすると"安楽死"の題材が最後では取り上げられています。

ここ最近も医者による安楽死措置で問題が取り上げられ続けていますよね。

今回の作品のように患者が辛さを訴える描写がたくさんあると思わずグッとせずにはいられません。

 

老若男女問わずに難病と闘う描写は読んでいて辛いとしか表現できません。

病気になったからと言って治療を強要させるのはその本人のエゴでしかないんだなって思ってしまいました。

私の大切な人がそういった事態に陥ってしまった際には何がその人にとって良いのか判断できるようになりたいです。とても難しいことだと思いますけどね。

私はこの作品で"いのち"の有難みを教えてもらいました。

日々日常が健康でいられることに感謝して毎日を楽しみたいと思いました。

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

自分が何のために働くのか見つめる機会を与えてくれる一冊。

今回は『手紙屋 僕の就職活動を変えた十通の手紙』(喜多川泰/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

主人公といっしょに働くことの意味を見つめ直す本。
ロングセラー「賢者の書」「君と会えたから……」で読者を感動の渦に巻き込んだ著者が贈るメッセージ。はたして、謎の「手紙屋」の正体は?
就職活動に出遅れ、将来に思い悩む、大学4年生の僕(大学生4年生)はある日、書斎カフェで奇妙な広告とめぐりあう。その名も『手紙屋』。10通の手紙をやりとりすることであらゆる夢を叶えてくれるというのだが……。「働くことの意味とは? 真の成功とは? 「物々交換」「自分に向いているものを探さない」「思いどおりの人生を送る」etc.明日を変える10の教え。 (本書より引用。)

 

西山諒太:就職活動中の大学4年生。行きつけの喫茶店である”書楽”で”手紙屋”と出会う。

手紙屋:希望される方と手紙のやり取りをしているという。全十通で人生の中で実現したいことのお手伝いをしているようだ。

 

今回は就職活動に悩む一人の大学生に向けた自己啓発要素のある話です。

私自身も就職活動の頃は苦労したなぁ,当時この本を読んでいたら何か思考が変わっていたのかなと思い,手に取ってみました。

結論から言いますと,この本に就職活動を有利に進めるいろはが書かれているわけではないのでご注意ください。

 

これまた大人っぽい主人公だなぁと思いながら読んでいました。

やはり最近の若い方は起業してみたいと思うことが多いんですかね?

ただ,自分が何のために働くのかと見つめなおすいい機会になりました。

私は今の会社に何も不満がない状態で働いていますが,有事の際にはどうするんだろうと。

とは言っても頭がそこまで良くないので,今という瞬間を精一杯楽しんでやろうと思いました(笑)

そうしたら自分がなりたかった何かになれるかもしれませんしね。

ただ,若干自己啓発の内容が強すぎるかなぁと思ってしまいました。

私は運転者の方が胸にグッと来たなぁと思ってしまいました。

sh1roha468.hatenablog.jp

 

完全に余談ですが,こういう”書楽”のような行きつけの喫茶店ってちょっと憧れますよね(笑)

私もいつの日かこういう行きつけの店に出会いたいと思いました。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

ではまたの機会にお会いしましょう!