活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

52ヘルツのクジラたち【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる。(本書より引用。)

 

人物紹介

三島貴瑚:キナコと呼ばれる。親が長く放置していた祖母の家に引っ越してきた。
少年:キナコが偶然出会った少年。会話することができず、虐待されていた。
村中眞帆(マホロ):家の床張り替えを行った職人。そこから何かと話すようになる。
アンさん:キナコが慕っていた人物。遠くに行ってしまってもういない。

 

感想

sunset beach

今回は本屋大賞を受賞した作品です。
こちらはまだ読んだことがありませんでしたが、遂に読むことができました。

一体、キナコは誰を刺そうとしたんだ?このアンさんという人を刺そうとしたのか?何がきっかけでそんな事態になったんだ?と冒頭から様々な想像をしながら読みました。

何と言ってもこの虐待されている少年。
キナコは52と呼ぶようにしますが(え?番号で人の子と呼ぶの?)、彼の境遇が徐々に明らかとなります。

この少年やキナコの育った境遇は非常に劣悪で、少々手が進まないことも。
本当にこんな状況の人いるのかな?いないといいなぁってなんとなく思いながら読んでいました。

読了後に悪い感じはしないので、その点はご安心ください。
ただ、好き嫌いははっきりと分かれる作品では?と個人的には思いました。

ネタバレありのコメント

意外と愛(イトシ)の母親は悪い人ではなくて誤解では?別人が虐待してるんじゃね?だなんて冒頭では思っていましたが、とんでもない屑で驚きましたよ。

フィクションとはいえ、周りの人間がクズ過ぎてびっくりです。
何はともあれ、読了後は色々と解決して本当に良かった。

とは言え、良くも悪くも今風の作品だなって思いました。
まさかアンさんがトランスジェンダーとは思いませんでしたが、考えさせられる内容でしたね。
最近は性同一性障害とか知的障害を内容に取り入れた本が多いんですかね。
以前紹介した推し、燃ゆでもそのような描写がありましたからね。

sh1roha468.hatenablog.jp


やはり、こういった人たちへの配慮と理解が必要な時代となってきて、この手の題材も増えてきているんですかね。
簡単には理解も解決もしない非常に難しい課題だよなぁ、とこの手の小説を読むたびに痛感させられます。


誰にも聞こえない声で鳴くクジラと、誰にも聞こえない助けを求める人の声。
タイトルの意味が分かるとなんて悲しい事なんだと思わずにはいられませんでした。

最後には全員が報われて本当に良かったなぁと思いました。
アンさんもきっとどこかで見守ってくれていますよね。

汚れた手をそこで拭かない【書評】

こんにちはしろはです。
本年も宜しくお願い致します!!
今回は『汚れた手をそこで拭かない』(芦沢央/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

 

平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。
取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。(本書より引用。)

 

感想

今回は短編5つから構成された作品です。
内容としては、日常でも簡単に起こりえるような恐怖体験が描かれています。
結末が想像しにくいことからもミステリー作品となっています。

5つに共通しているのは、とある失敗を犯してしまった人物がこっそりと秘密裏に解決しようとするが、徐々に追い詰められていくという点です。
一部は当人の失敗ではないですが、不気味な演出があります。

あーあ、そんなこと止めておけばいいのにだなんて思いながら読んでいましたが、当人だとしたらそんな冷静でいられないかもしれませんよね。
実際に起こり得る失態だからこそ想像しやすく、ゾッとする体験を味わえるのではないでしょうか。

人間、やっぱ悪いことはするものじゃないですね。

ネタバレありのコメント

読む前からなんとなく読了後は後味の悪いものだろうなぁとは思っていましたが、案の定でした。
実際に私生活でも起こり得ることだからここまでの臨場感がありますよね。

些細な失敗や過ちから徐々に追い詰められ、堕ちていく。
ふと気づいた時には取り返しのつかない事態となっている。
本書は、そんな恐怖体験が5回も体験できますよ(笑)
倒叙トリックとは違った恐怖体験ができました。

"汚れた手"ということが自身の失態を表し、"そこで拭かない"ということがそんな誤った対処法せずに己の失敗を認めるべき、ということを表しているんですかね。
このタイトルの話があるならば、いつか読んでみたいです。

ただ、私には少々内容が物足りない気がしました。
片手間に読む本としては十分すぎるほどに満足感が得られると思います。

悪いことしてしまったら、手遅れになる前に正直でありたいと思いました。
いざという時に、助けてくれる人は必ずいるはずですよね!

死神の精度【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『死神の精度』(伊坂幸太郎/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

 

こんな人物が身近に現れたら、彼/彼女は死神かもしれません──(1)CDショップに入りびたり(2)苗字が町や市の名前と同じ(3)会話の受け答えが微妙にずれていて(4)素手で他人に触ろうとしない。1週間の調査の後、死神は対象者の死に「可」「否」の判断を下し、「可」ならば翌8日目に死は実行される。ただし、病死や自殺は除外。まれに死神を感じる人間がいる。──クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う、6つの人生。(本書より引用。)

 

人物紹介

 

千葉:千葉と名乗る死神。対象者と関わりをもち、その人の死は可か見送りかの判定をする。

 

感想

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今回は人の死に"可"か"見送り"か判定を下す死神の話です。
死神というとちょっと不気味な感じがしますが、もしかしたら現実でも起こっているのかも?と想像を掻き立てられます。

えー、単刀直入に言います。
私、この作品がとても好きです(笑)

著者である伊坂幸太郎さんの作品ってこれまでに何冊も読みましたが、一番好きになったかもしれません。
これまでは砂漠という作品が一番でしたが、超えてきた気がします。
興味のある方はこちらもぜひ!!


死神は無機質でありながらも、どこか感情があるのではないかと錯覚を覚えます。
千葉はただ単に"可"の判定を下すのではなく、しっかり調査を行ってうえで判断しています。
死神たちはこぞってミュージックを好むというのも何だかいいなって(笑)

人間だなんて、いつ死ぬか誰にもわからないことなんだからもっと悔いのないように楽しく過ごしたいと再認識しました。

作中ではこんなセリフもありました。

人が生きているうちの大半は、人生じゃなくて、ただの時間、だ

これ誰の名言なんだろう?(2000年ほど前にいた思想家とのことだったので)と思って読了後に調べましたが、特に出てきませんでした。
作中で出てきたオリジナルの文言でしょうが、とてもいい表現だなと思いました。

本作は短編で構成されているので、活字が苦手な方も読みやすいのではないでしょうか。
人の死といっても、決して重い作品ではないので楽しんでいただけたらなと思います。

ネタバレありのコメント

大抵は"可"の判定をするといっていたのに、序盤からいきなり"見送り"をしたので、これは後々また何かあるのでは?と思っていましたが、期待通りでした。
私はこういう展開が大好物なんですよね。
お、きたきたこれだよこれ、だなんて読みながら嬉しくなりましたよ(笑)

余談ですが、作中で出てきた奥入瀬渓流にはいつか行ってみたいです!
きっと素敵な景色が見えるはずですよね?
もし天候が優れていないようだったら、私は周囲にこの千葉さんのような死神の存在を疑いたいと思います(笑)

推し、燃ゆ【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『推し、燃ゆ』(宇佐見りん/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

 

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。(本書より引用。)

 

人物紹介

 

あかり:アイドル上野真幸を推す女子高校生。その真幸が炎上したことで生活が一変。

 

感想

concert singer 

今回はタイトルにある通り、主人公が推していたアイドルが炎上した(燃えた)ことで生活が変わったしまった様子を表した作品です。
芥川賞をとったとのことでいつか読んでみたいなぁと思っていましたが、ようやく読むことに。

正直、私より若い方がここまでの文章表現できるだなんて凄いわって思いましたね。
読み始めて一番最初に感じたことは、これコンビニ人間っぽいなということでした。

コンビニ人間を読んでいる時は、実際にコンビニにいるのではないかと錯覚してしまうほどに情景描写が明確で、ずるずると世界観に引き込まれていきました。

これに対して、本作品は主人公のあかりが多い描く心理描写がこれでもかと表現されています。
何を考えて何を実行し、何ができないのか。

きっと他者とのコミュニケーションが苦手なんですよね。
コミュニケーションのためにも"推し活"をしていたのにこんなことに。
あかり自身の苦しさが痛いほど伝わってきます。

購入時は、え?こんな短い作品なの?と驚いてしまいましたが、これほどまとまっているとは。
個人的にはまだまだあかりの先が知りたかったですが、良い幕引きでしたかね。

ネタバレありのコメント

やはり、あかりは発達障害とかそういったものを抱えた少女なんですかね。
自分だけが周りと同じようにできずに苦しむ描写には考えさせられるものがあります。

心理描写でも、思ったことややっていることが転々としているのは、まさにこの発達障害を表現しているのでしょうか。
深読みかもしれませんが、そうだとしたら本当に凄いなって。

個人的には少々読み足りないボリュームでしたが、今はこれくらいが万人受けするんですかね。
そうはいっても、この短さでありながらも全体のまとまり加減は圧巻です。
良くも悪くも今風な小説ですね。

あかりには自分らしく頑張ってほしいなと思いました。
気付いていないだけで私の周りにもそういったことで悩んでいる方もいると思うので、どこか人との付き合い方を見直す良いきっかけとなりました。

この作品が芥川賞に選ばれた所以が垣間見えた気がしました。

invert 城塚翡翠倒叙集【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『invert 城塚翡翠倒叙集』(相沢沙呼/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

 

綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。
だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか?(本書より引用。)

 

人物紹介

 

城塚翡翠:自称霊能力者。警視庁の人間と共に難解事件の解明にあたる。

千和崎誠翡翠の身の回りお世話をしている。翡翠の掛ける眼鏡で映像を共有している。

 

感想

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本作はmediumの続編となっています。
冒頭にもありますが、重大なネタバレを含みますので先に前作からご覧ください。

一応、ブログでも紹介したことがあるので未読で読んでやってもいいぞって方がいればこちらもぜひ(笑)

sh1roha468.hatenablog.jp


さて、今作は翡翠による倒叙集となっています。
倒叙とは、犯人視点で描かれるミステリーというかサスペンスのことですね。

この翡翠倒叙かぁ、まぁ展開はこうなるだろうなぁと思いながら読んでいました。
その点に関しては私の予想通りでした。
ただ、ミステリーの真相に関してはさっぱりでした!!完敗です(笑)

 

翡翠によって、倒叙作品なのに墓穴を掘りまくってしまう描写にはどこか私が苦しくなってしまうほど。
翡翠が読者に謎を投げかけてくるので、挑戦したい方はぜひ!!

 

ネタバレありのコメント

倒叙の本って何冊か読んだことありますけど、ここまで序盤から犯人の負けが確定している作品なんて初めて読みましたよ(笑)
あーあ、止めとけばいいのにって何度思ったことか。

最後はどうやって立証するんだろう?と思っていましたが、まさか入れ替わっているとは。
私は冒頭であった瞳は翠だった、の段階でもう翡翠だと思い込んでいましたからね。
あー、そういえば外向きには瞳を緑色にしていたなぁって。
それにタイトルの"信用ならない目撃者"っていうのもずるいなぁって(笑)

本作はやっぱり、翡翠がどのようにして犯行を立証するのかが醍醐味ですね。
そして前作と同様に読者側へとトリックの謎を問いかけますが、私にはもうさっぱりでした(笑)
私は作中でもありましたが、問題解決をしたいからミステリー作品を読んでいるのではなく、アッと驚くような解決方法を読みたいがためにミステリー小説を読んでいるのだなぁと思わされてしました。
えー、今回も完敗です。

ただ、もう少し翡翠の素性が明らかにされるのかなぁと思っていました。
この様子だと次回作も執筆予定なんですかね?
ぜひ次回作では、なぜ翡翠がここまで殺人事件の解明に精を出すのか判明されると嬉しいですね!

有頂天家族【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『有頂天家族』(森見登美彦/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

 

「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。が、家族はみんなへなちょこで、ライバル狸は底意地悪く、矢三郎が慕う天狗は落ちぶれて人間の美女にうつつをぬかす。世紀の大騒動を、ふわふわの愛で包む、傑作・毛玉ファンタジー。(本書より引用。)

 

人物紹介

 

下鴨矢三郎:4人兄弟の三男。家族共に全員が狸。

如意ヶ獄薬師坊:赤玉先生と呼ばれる天狗。頑固者で弁天を特別視する。

弁天:天狗でも狸でもないただの人間。赤玉先生のお気に入りだがおてんば者。

 

感想

road path 

今回は狸や天狗が人間と一緒に暮らす世界での話です。
基本的に、視点は狸の矢三郎で描かれているため冒頭からどこか、おやちょっと変わったファンタジー要素作品かなと思わされます。

序盤はのらりくらりと彼らの日常が描かれているので、一体結末はどうなるのだろう?と非常にワクワクしながら読んでいました。

独特な世界観と一風変わった文章表現、慣れるまで多少時間がかかるかもしれませんが、きっと読む方ものめりこんで読めるのではないでしょうか。

読了後はどこかほっこりとどこかに満足感があるのではないでしょうか。
私は鍋やら酒を友人と囲みたいなぁと思いましたね。

最後に私の好きな表現を紹介します。

世に蔓延する「悩みごと」は、大きく二つに分けることができる。一つはどうでもよいこと。もう一つはどうにもならぬことである。そして両者は苦しむだけで損であるという点で変わりはない。

おお、これ良いセリフだなぁって思わず頷いてしまいました。
まさか狸が発する地の文でこう思うとは思いませんでしたが・・・(笑)
悩みすぎたってどうしようもないことはどうにもなりませんからね。

ネタバレありのコメント

狸はフライドチキンが好物である。

そんな訳ないだろ(笑),と思わずクスっと笑いながら読むことのできた作品でした。
気になって調べてみたんですが,狸って結構何でも食べるそうですね。
あれ、じゃあ意外とフライドチキンが好物だってこともあるのかな?だなんて思いましたね。

物語終盤までずっと蛙だった次男の

捲土重来!

には痺れましたね。
意味としては、物事に一度失敗した者が非常な勢いで盛り返すこと、だそうです。
まさか"赤玉パンチ"を飲んだことで狸に戻ることができるとは思ってもいませんでしたが、このシーンはとても好きです。

面白きことは良きことなり!

不思議な世界観でありながらも、彼らの楽しそうな暮らしが伺えてどこか幸せな気持ちになりました。

森見登美彦さんらしい、この世ではない不思議な雰囲気を醸し出しつつ、どこかこんな世界もあったらいいなと思えた作品でした。

我ら一族とその仲間たちに、ほどほどの栄光あれ。

 

自転しながら公転する【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『自転しながら公転する』(山本文緒/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

東京のアパレルで働いていた都は母親の看病のため茨城の実家に戻り、地元のアウトレットのショップで店員として働き始めるが、職場ではセクハラなど問題続出、実家では両親共に体調を崩してしまい……。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなこと無理! ぐるぐる思い惑う都の人生の選択から目が離せない、共感度100%小説。(本書より引用。)

 

人物紹介

与野都:アウトレットのアパレル店で契約社員として働く。母親が更年期障害となったことで茨城から都内に移った。
羽島貫一:同じくアウトレットの寿司屋で働く。ぶっきらぼうな接客対応姿に嫌気がさした都が注意したことで出会う。

感想

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今回は一人のアパレル店員と一人の寿司職人の暮らしぶりを描いた作品です。
ひょんなことから付き合い始めた都と貫一。
お互いにあまり稼ぎが生活ながらも幸せな生活を過ごします。

都の気丈であろうとしながらも何かと不安を感じないではいられない性格、貫一の楽観的でありながらも嫌なことからは逃げたい性格(あくまでも私が感じた主観ですが)、人間ぽくて非常に良かったです。
ただ、第三者として二人の友人とかで私がいたらイライラするだろうなぁって何度も感じました。

ごめんなさい、何かとお二人とも面倒くさいです(笑)
都の性格はともかくとして、貫一の事あるごとのうんちくはどうなんだと。
タイトルの話は結構序盤で登場します。

地球は秒速465メートルで自転して、その勢いのまま秒速30キロで公転してる

へー、そんなスピードなんだ。
とは言っても、貫一がなぜその場面でそのうんちくを垂れるのかはすべてわかりませんでした(笑)

都、貫一そして都のママやパパ、友人の絵里やそよこは誰もが人間臭くて非常に良かったです。
他の方の感想で見ましたが、著者の山本さんはこの都のような面倒くさい女性像を描くことが得意?なようですね。
あまり感情移入しすぎないようにしながら他の作品も読んでみようと思いました。

ネタバレありのコメント

(ここからはネタバレを含みますのでご注意ください。)

都さん、ヒステリックな場面多すぎませんかね?
終始そう思わずにはいられませんでしたが、現実にいそうなリアルさが如実に表現されていてぐいぐいと引き込まれていきました。

共感度100%とのことですが、わたしはあまり共感できませんでした。
30代女性ならではの悩みが理解できていないということですね…。
自分もまだまだ子供だなぁと痛感しました。

ただ都が自身の感情に気づくシーンは非常に好きです。

この不安は自分への不安だった。自分が今の状態で子供を産んで育てられるとはとても思えなかった。誰かの人生を変えるどころか、自分自身が本当のところ、まだ他者からの庇護を求めているのだ。                                                 


そよこのこの厳しいセリフも好きです。

都さんの迷いの根本は、自活できる経済力がないことなんじゃないですか。


都は自分が感じている不安を何かと貫一へと責任転嫁することがままあります。
最終的には弱い自分を認めるのですが、強いなぁって思いましたね。
吹っ切れてどうでもよくなることなく、生きていく姿勢にはぐっと来ました。
これらのセリフ、そしてこの後の結末を見て読んで良かったなと思えました。

率直な話、貫一が飲酒運転?と無免許運転をした時は
あ、これ終わったわ(笑)と思わず呟いてしまいましたが(笑)。
二人が幸せそうな結末を迎えて本当に良かったです。

 

更年期障害とは

そもそも更年期障害とは。(私は知らなかったので調べてみました。)

更年期障害の症状としては「血管運動神経症状」、「精神神経症状」、「その他の症状」の3つに分類されるそうです(Wikipedia参照)。

血管運動神経症状としては、顔の火照りやホットフラッシュ、異常発汗などが該当するそうで、都の母親の症状として表れていたものですかね。
精神神経症状としては、情緒不安や抑うつなどが該当するそうです。
作中でも説明されていましたが、症状や程度も人それぞれだそうで辛さが理解されにくい点もあるのだとか。

他にも厄介なことで男性もこの更年期障害(この場合はLOH症候群)になることもあるんですね。
症状も女性と同じようなものですが、こちらも程度がバラバラだそうです。

どちらにも共通していることですが、ホルモンバランスが乱れると発生するようです。
ホルモンバランスとか全くの無知ですが、栄養バランスの取れた食事と程良い運動が対策として挙げられるようですよ。
何でもかんでも食事と運動って大事なんだなぁと。
私ももう少しは運動しないと…。

他人から理解されにくい病気の方に、少しでも寄り添えるような存在でいたいですね。