活字紀行

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透明な夜の香り【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『透明な夜の香り』(千早茜/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

元書店員の一香がはじめた新しいバイトは、古い洋館の家事手伝い。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染みの探偵・新城と共に、完全紹介制の「香り」のサロンを開いていた。亡き夫の香りを求める女性の依頼や、匂いを手がかりに行方不明の娘を探す案件など、風変わりなオーダーが次々に舞い込んで―。
(「BOOK」データベースより引用。)

 

人物紹介


若宮一香:元書店勤務。アルバイト急募と書かれた求人広告を見て、バイト応募をした。
小川朔:調香師。嗅覚が非常に優れている。香りを作る仕事をしている。
新城:幼馴染みの探偵。興信所の人間。
源次郎:源さん。庭の面倒を見ている。

感想

今回は調香師と呼ばれる、人が望む匂いを作って生計を立てている人たちの暮らしを描いた作品です。

調香師である朔は非常に嗅覚が優れており、どんな匂いだろうと嗅ぎ分けることができます。
それがまだ発見されていない物質だろうと嗅ぎ分けることができ、再現することが可能。
まさに天才だからこそ成り立つ事業となっています。

そんな彼の元にはどのような依頼が来るのでしょうか。
私も似たような依頼をする状況になることがあるだろうか。何をお願いするだろうか。
そんなことをぼんやりと考えながら読んでいました。

全体の流れとしては、複数のセクションに分かれており、様々な客が朔らの元を訪れることとなります。
よって、片手間に香りを楽しめる一冊となっています。

私はいつも通り仕事の昼休憩中に読んでいましたが、普段では味わうことのできない幸福感がありました。
香りの良さを文章で再認識させられるとは思いませんでした。

読んで良かった一冊です。
ぜひ朔らが華麗に香りを元に依頼をこなしていく様子を堪能ください。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

読んでいるだけでどこからか匂いが感じられるような小説は初めて読みました。
また、匂いだけでなく料理を作る部分も多々あるため、最後まで飽きることなく五感を感じながら読むことができました。

私自身、香りって普段はあまり意識しないのですが、この小説を読んでいる間は草木や料理の匂いを意識しながら生活していた気がします。

懐かしい匂いを感じて感動するみたいな場面ってあるんでしょうか。
私にはこれだ!!というものがぱっと思いつきませんが、そういうものを再現してもらえるのを考えるととても素敵な仕事ですよね。

懐かしの景色や味とは違った、懐かしの匂い。
簡単に体験、作ることができないからこそ尊さを感じるのでしょうね。

匂いというものにももう少し注目してみようと思いました。

昨今だと"スメハラ"と言われて悪く言われることもある匂いですが、自然由来の良さもしっかり感じて生きたいです。

金木犀の香りしかわからないだなんてダメですよね・・・。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。