活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

硝子の塔の殺人【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『硝子の塔の殺人』(知念実希人/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。
地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、
刑事、霊能力者、小説家、料理人など、
一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。
(本書より引用。)

 

人物紹介


神津島太郎:館の主人。壱の部屋。
加々見剛:刑事。弐の部屋。
酒泉大樹:料理人。参の部屋。
一条遊馬:医師。肆の部屋。
碧月夜:名探偵。伍の部屋。
巴円香:メイド。陸の部屋。
夢読水晶:霊能力者。漆の部屋。
久留間行進:小説家。捌の部屋。
左京公介:編集者。玖の部屋。
老田真三:執事。拾の部屋。

感想

spider sculpture

今回は硝子の塔という場所で起こった殺人事件を描いた作品です。

冒頭から犯人と思われる後悔が綴られ、そして事件現場はクローズドサークルであることが早々から判明します。

登場人物らは10個の部屋に分かれて泊まっていたところ、事件は発生します。
プロフィールや泊まることになった部屋、そして塔の構造が掲載されています。

この人は何をしている人でどこの部屋に泊まっている人なんだ?と分からなくなってしまったら戻ってくるととても分かりやすいと思います。

さて、犯人の後悔から描かれていることからも、本作品は倒叙となっています。
作中では少々キャラの濃い自称名探偵が登場します。

事件の真相とは?そして彼女はどのようにして事件を解決していくのか。
ぜひ挑戦してみてください。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

どうしてこんなことになってしまったのだろう。

そんな始まり方をする本作品ですが、一見するとクローズドサークルで起こった倒叙かな?と予想しながら読み進めることとなりますが、それだけでは終わらないのが一つの魅力かと思います。

読者の我々にも語り掛けてくるような展開がありましたが、ここ数年で私が読んだものだと、どこかmediumを思い出させるようなものでした。
心なしか、探偵役の月夜と翡翠が似ていた箇所があったからでしょうか。

 

sh1roha468.hatenablog.jp

 

ただし、決して探偵役が酷似しているわけではなく、翡翠にはない魅力、そして月夜にはない魅力がそれぞれにあったのだと再認識しました。

さて、今回もミステリの謎を解いてみろ!!と言う展開がありましたが、私には見当もつきませんでした。

倒叙って犯人視点で描かれるから対して面白くないのでは?という偏見を軽く吹っ飛ばしてくれるのがミステリ好きとしては堪りません。

知念さんのミステリというと、医療要素がミステリのタネとして組み込まれていることが多々ありますが、今回はそのような要素があまりなかったことが意外でした。

また、メタ要素というか若干の叙述トリックが仕込まれていたのが面白いなと。
ミステリなんて所詮は小説の中の話だろ?という固定概念を抱きながら、小説を読んでいるんだなと思わされました。

まぁそれが当たり前だと思うんですけどね・・・(笑)

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。