活字紀行

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その可能性はすでに考えた【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『その可能性はすでに考えた』(井上真偽/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

山村で起きたカルト宗教団体の斬首集団自殺。唯一生き残った少女には、首を斬られた少年が自分を抱えて運ぶ不可解な記憶があった。首無し聖人伝説の如き事件の真相とは?探偵・上苙丞はその謎が奇蹟であることを証明しようとする。論理の面白さと奇蹟の存在を信じる斬新な探偵にミステリ界激賞の話題作。
(「BOOK」データベースより引用。)

 

人物紹介


フーリン:本名はヤオフーリン。金銭業に富んでいる。
ウエオロ:通称"探偵"。博識でありながらも、フーリンに多額の借金がある。
渡良瀬莉世:カルト宗教団体で起こった事件の生き残り。事件を解決してほしくて探偵の下を訪れた。

 

感想

今回は一つのカルト宗教団体で起こった集団自殺事件を追った作品です。
依頼人である渡良瀬莉世はその事件唯一の生存者であり、事件の詳細を知りたく探偵の下に依頼していきました。

探偵は奇蹟を信じており、彼の探偵業は奇蹟の証明のためにあるといっても過言ではありません。
事件の解明のためにありとあらゆる可能性を否定することで、事件は奇蹟によって起こったことを証明しようとします。

この辺が一般的なミステリとは大きく異なる点ではないでしょうか。
ありとあらゆる可能性なんて排除できるのでしょうか。
探偵がどのような可能性を考えたのか、見てもらえればなと思います。

全体の流れとしては、事件の予想を探偵に持ち掛けてくる人物が次から次へと表れてきます。
その事件の真相はあり得るのでは?という説が様々出てきますが、探偵がことごとく証明を果たします。

探偵はこの勝負に勝つことができるのか。
事件の真相とはいったい、是非読んで確かめてほしいです!

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

ちょっと読みにくい作風かな?と思いながら読み進めていましたが、最後まで楽しく読めました。
読者目線だと、彼らには何が起こったのか簡単に理解することができますが、最終的に探偵らが真相にたどり着いたシーンには痺れました。

宗教がらみで集団自殺というと、どこか教祖の仕業なのではないのかと色眼鏡で捉えてしまうのは良くないことですね。

ドウニの生きざまは格好良かったです。
宗教団体と言うと、どこか暗い結末を迎えてしまうのではないか?と危惧していましたが、彼のおかげ?でリゼだけでも救われた結末となって本当によかったです。

探偵がありとあらゆる仮説を叩き潰していく様は正に壮観でした。
そんな訳なくね?という仮説までも綺麗に反証を出してしまうとは。

最後はさすがに彼もピンチではないか?と思いましたが、結末にも満足でした。

あと個人的にはカプレカ数と言うものが気になりました。
こういう一種の数学関連の知識には疎いので、何かのタイミングで触れてみようかなーという興味がわきました。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。