活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

上手くいかない時にこそ御飯が食べたくなる一冊。

今回は『こころ食堂のおもいで御飯~あったかお鍋は幸せの味~』(栗栖ひよ子/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

結(むすび)が『こころ食堂』で働き始めてはや半年。“おまかせ”の裏メニューにも慣れてきた頃、まごころ通りのみんなに感謝を込めて“芋煮会”が開催される。新しく開店したケーキ屋の店主・四葉(よつば)が仲間入りし、さらに賑やかになった商店街。食堂には本日もワケありのお客様がやってくる。給食を食べない転校生に、想いがすれ違う親子、そしてついにミャオちゃんの秘密も明らかに…!? 年越しにバレンタインと、結と一心(いっしん)の距離にも徐々に変化が訪れて…。(本書裏表紙より引用)

 

持田結:通称"おむすび"。こころ食堂で働いてからはや半年になる。

味沢一心:こころ食堂の店主。裏メニュー"おまかせ"ではその人が一番食べたいものを作る。

 

今回は"まごころ通り"での何気ない日常を描いた話です。

いきなりですが,私はまたやってしまいました…(笑)

書店にて本書を見かけた際には,なんだこの旨そうな表紙は!?,と背表紙や内容等全く見ないでその場での勘定で購入してしまったのですが,本書は2作目なようで…。

読み始めてから,あれ?話としてよくわからない部分が結構あるな??と感じてからはまたやっとしまったのだと気づきました(笑)

あ,ちなみに1作目はこちらとなっております。

またやってしまった,と思いながら2作目から1作目を読むということに…。

作品の内容としては本当に御飯が食べたくなる,ということに尽きますね。

私自身は一人暮らしをしている身分ですので,誰かと食卓を囲むという機会があまりありませんが(昨今の社会情勢ということもありますし…),思わず誰かと美味しいものについて食べながら話したいと思うほどでした。

 

上手くいかないことや辛いことがあった時に,思わず落ち込んでしまったとしても御飯を食べるということの有難さや温かみを再認識できるのではないでしょうか。

大切な人が困っていたら御飯に連れて行くなどして是非話を聞いてあげてくださいね。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

敗者復活戦を制すまでの軌跡を綴った一冊。

今回は『今はちょっと,ついてないだけ』(伊吹有喜/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

今はちょっと、ついてないだけ (光文社文庫)

今はちょっと、ついてないだけ (光文社文庫)

 

バブルの頃、自然写真家としてもてはやされた立花浩樹は、ブームが過ぎると忘れられ、所属事務所に負わされた多額の借金を返すうちに四十代になった。カメラも捨て、すべてを失い。自分が人生で本当に欲しいものとは、なんだったのか?問い返すうち、ある少女からの撮影依頼で東京へ行くことになった浩樹は、思いがけない人生の「敗者復活戦」に挑むことになる。(裏表紙より引用。) 

 

立花浩樹:かつては自然写真家としてもてはやされたものの全てを失ってしまう。

様々な同年代との出会いを経て,数々の撮影依頼を受けることになる。

 

今回は一人の男性が立ち直るまでの軌跡を綴った話です。

主人公はかつて”ネイチャリング・シリーズ”と呼ばれる大自然をテーマにした写真家としての活躍するタレントでした。

私自身,カメラや写真にあまり興味はありませんが,どうしてこんなにも撮られている人を笑顔にさせてくれるんでしょうか?

ああ,こうやって一枚の写真として残していくことも良いなと思いました。

自分の写真を撮る機会はあまりないと思いますが,景色や風景は収めたいと思いました。

今はこんなご時世であまり旅行に行く機会ができるかわかりませんが,大自然にかこまれたような場所に行ってみます。

 

さて,作品としては立花が同年代である40歳位の様々な人と出会い再生していきます。

みんな誰しもが苦労しながらもシェアハウスで写真スタジオを経営します。

一章ごとに視点が区切られており,とても読みやすい作品です。

タイトルにもあるようにうまくいかない時期があっても今はそういう時期なのかな?と前向きに考えさせてくれます。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

ふつうとは,について今一度向き合わせてくれる一冊。

今回は『たとえ好きなものが見つからなくても』(阿月まひる/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

  

就職活動に失敗し、夢も希望もないまま生活していた海帆。ある日、高校時代の友人から来たメッセージをきっかけに、なぜか高校の入学式後の教室にいた。記憶の奥に閉じ込めていた高校生活を再び送ることに。 (裏表紙より引用。)

 

相原海帆:就職活動に失敗し,フリーターとして働く25歳の女性。

とある時から10年前の高校生活を送ることとなる。

龍禅寺光:友達を作ろうとしなかった海帆にも気さくに声をかけてきた少年。

海帆が高校生の頃には記憶に全くなかった印象だが…?

 

今回はタイムスリップをしながら”ふつう”について考えさせてくれる話です。

突然ですが,皆さんは”ジョジョの奇妙な冒険”って知ってますか?

タイムリープして早々に龍禅寺から”ジョジョ”を紹介されます。

龍禅寺ジョジョをクラスに流行らせようとし,海帆にはまさかの6部を渡します。

おいおい,いきなり6部を読ませるとか正気か??って思いましたけど…(笑)

ジョジョ”だけでなく”エルマーのぼうけん”といった実在する話が登場します。

ジョジョ好きならちょっと変わった視点で楽しめるかもしれませんね!

 

さて,私の好きなフレーズを紹介します。

わたしが,わたしの人生を大事にしないといけないんだ。

どうでしょうか?読んでくれる方もふつうを目指す人もいるのではないでしょうか?

ふつうの人になりたい,ふつうの生活がしたいと思うものの難しいと気づきますよね。

ふつうじゃなくてもいいんだ,あくまでも自分の人生なのだから自分の生きたいように生きるのが良いのだと思わせてくれました。

人に迷惑をかけないなら自分の人生を楽しく過ごしたいと思えるような作品でした。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

少しでも就活生の心の支えになってほしい私の体験談。

こんにちはしろはです。

今年から月末にはいつもの書評ブログとは異なったブログを始めてみようと思います。

ただ,書評ブログと同じように私の独り言のようにつらつらと文章を書きますので,大らかな気持ちで読んでいただけますと幸いです!

さて,今回は就職活動についての話です。

私も20代とはいえ,私が就活していたころとは違いと思いますので一意見として聞いていただけたら私も嬉しいです。

 おいおい,こんなことあるのかよ,という私の就活を失敗した体験談を3つ紹介します。

何を馬鹿なことをやってるんだよ(笑)と面白話として昇華してくれたらなお嬉しいです。

 

  • 面接中に面接官からの質問に黙ってしまったらどうなりますか?

    →落ちます。

    →落ちます。

  • Web試験に受け忘れがあるとどうなりますか?

    →落ちます。

 

はい。上に紹介した体験談は当時就活生だった私が実際にしたものです…(笑)

思い返してみればなんであんな馬鹿なことをしたんだ?と思うばかりで恥ずかしいです。

ただ,このようなミスをしさえしなければ就活には無限の可能性があると思っています。

実際に入社したい会社がある人も,まだまだぼんやりとしている人も,自分の就職活動結果に納得がいくように頑張ってください!

 

最後に,見てくださる皆さんの就職活動が良きものでありますことを願っております。

ではまたの機会にお会いしましょう。

人との出会い,そして別れを綴った一冊。

今回は『きらきら眼鏡』(森沢明夫/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

きらきら眼鏡 (双葉文庫)

きらきら眼鏡 (双葉文庫)

  • 作者:森沢 明夫
  • 発売日: 2018/07/12
  • メディア: 文庫
 

人生の岐路に立つ若者の、ひたむきな恋と決断の物語。愛猫を亡くしたばかりの立花明海は古本屋で自己啓発本を買った。中には「大滝あかね」と書かれた名刺が挟まっていて、自分がもっとも心を打たれたフレーズには傍線が。明海は思い切ってあかねにメールしてみるが……。(裏表紙より引用。)

 立花明海:厚紙加工メーカーに勤める入社3年目の営業マン。

飼っていた猫のペロが亡くなり,ひょんなことからとある本屋で死について綴った本に出会う。

大滝あかね:フリーのライター兼ディレクター。

明海が見つけた本に,名刺を入れたままにして間違って売ってしまった張本人。

 

今回は千葉を中心とした舞台をでの物語です。

私は千葉に住んでいたことがあるので懐かしい地名が出てくるなと思っていました。

主人公の明海西船橋住み,他にも下総中山や南房総船橋など親しみのある方も多いのではないでしょうか?

 

作中では波の音の表現したざわ,ざわ。という表現が何度も登場し,「おいおい,カ○ジかぁ??」と思っていた自分に渇を入れたいです…。(笑)

物語中盤ではあかねには入院中の彼氏がおり,先がもう長くないことが判明します。

以前,森沢さんの作品を読んだことがありますが,どちらも人の死について考えさせてくれます。
sh1roha468.hatenablog.jp

 また,皆さんは小松菜ハイボールってご存じですかね?

私は恥ずかしながら全く知らなかったのですが,機会を見つけて飲んでみたいと思います。

知らなくて画像検索したら,え!!こんなハイボールあるの!?って感じでしたね。

やたらと居酒屋や家でお酒を飲む描写があり,久しくお酒を飲んでいない身に葛藤が…。(笑)

 

まぁお酒や食べ物の話は置いておいて,人との関わりがどれほど難しく儚いものであるのか再認識できました。

一々,素敵な表現ばかりで何とかならないものかなー!って嘆いたものですよ。

きらきら眼鏡の素晴らしさをどうかあなたにも。

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

若い人にも読んでほしい一冊。

今回は『おもかげ』(浅田次郎/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

おもかげ (毎日新聞出版)

おもかげ (毎日新聞出版)

 

定年の日に倒れた男の〈幸福〉とは。心揺さぶる、愛と真実の物語。商社マンとして定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。今や社長となった同期の嘆き、妻や娘婿の心配、幼なじみらの思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験を重ねていた。やがて、自らの過去を彷徨う竹脇の目に映ったものは――。 (裏表紙より引用)

竹脇正一:養護施設で育ち,先日仕事を退職した。

送別会後に地下鉄の車内で倒れ,現在も集中治療室で眠ったままである。

 

今回は捨て子として育ったものの仕事一筋で生きてきた一人の男を描いた話。

私自身,まだ20代ですが自分はなんて恵まれた環境で生きているのかと思わされました。

昭和の頃を生き抜いてきた方々の苦節をひしひしと伝えてくれます。

 

あなたはつい頑張りすぎていませんか?

恵まれた環境にあやかって楽をしすぎていませんか?

いったん立ち止まってそんなことを考えさせてくれるのではないでしょうか。

一人の男性に焦点を当てた作品ですが,涙だけでなく色々と考えさせてくれる作品だと思いました。

また,本作品は”地下鉄”が主なテーマになっているので電車好きにはたまらないと思います。

 

最後に私が思わずハッとしてしまった表現を紹介します。

退屈はいいものだ。どうでもいいことを考える時間。非生産的な,思考と想像の時間。(中略)それがいつのころからか,どうでもいいことを考えるのは怠惰とされ,非生産的な行為を排除し,自由な思考と想像を封止して生きるようになった。(本文より引用)

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

嫌なことから思わず逃げ出したい人に贈る一冊。

今回は『雨降る森の犬』(馳星周/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

  

雨降る森の犬 (集英社文庫)

雨降る森の犬 (集英社文庫)

  • 作者:馳 星周
  • 発売日: 2020/09/18
  • メディア: 文庫
 

9歳で父を亡くした中学生の雨音は、新たに恋人を作った母親が嫌いだった。学校にも行かなくなり。バーニーズ・マウンテン・ドッグと立科で暮らす叔父のもとに身を寄せることに。隣に住む高校生・正樹とも仲が深まり、二人は登山の楽しみに目覚める。わだかまりを少しずつ癒していく二人のそばには常にあふれる自然や愛犬ワルテルの姿があった。犬の愛らしい姿が心に響く長編小説。(裏表紙より引用)

 

広末雨音:中学生。母親がアメリカに移住した際に道夫との同居を決めた。

乾道夫:雨音の叔父。山岳写真家。

国枝正樹:隣の別荘に住む高校生。ある時期だけこの別荘に来るがイケメンとして有名。

ワルテル:道夫が飼う犬。バーニーズ・マウンテン・ドッグという犬種。

 

今回は立科町を舞台とした自然あふれる作品です。

立科町には行ったことがなくどんな地域なのかな?と想像しながら読んでいました。

読了した後に立科町を調べてあまりの奇麗さに自分の想像力の無さを実感してしまいました。

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出典元:Wikipedia立科町(蓼科山と女神湖)立科町 - Wikipedia

 やはり想像するのと実際に画像を見るのとでは違いますね。

作中でも出てきましたが,自分の目で確かめてみたいと思いました。

長野県に旅行した際には是非足を延ばして行ってみたいです!

 

さて,バーニーズ・マウンテン・ドッグという犬種が出てきますが,表紙絵にあるような黒が基本色で顔や足には白や茶色が彩られた犬です。

幼少期のころ私は犬に苦手意識がありましたが,思わず犬と一緒に暮らしてみたいと思うほどでした。

愛犬家の方にはたまらない作品なのではないでしょうか?

 

雨音は母親から,正樹は両親からと思わず逃げ出してしまう描写があります。

思うようにいかず葛藤する様子には,中高生特有の不器用さを思い出させてくれるのではないでしょうか。

最後になりますが,私の好きなフレーズを紹介します。

嫌なことから逃げるのは簡単だよな。(中略)向き合って闘わなきゃ,なにも解決しない。(本文より引用

人間は過去と未来に囚われて生きている。(中略)動物は違う。あいつらは,今を生きている。瞬間瞬間をただ,精一杯生きているんだ。過去に囚われることも,未来を恐れることもない。(本文より引用

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう!