活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

若い人にも読んでほしい一冊。

今回は『おもかげ』(浅田次郎/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

おもかげ (毎日新聞出版)

おもかげ (毎日新聞出版)

 

定年の日に倒れた男の〈幸福〉とは。心揺さぶる、愛と真実の物語。商社マンとして定年を迎えた竹脇正一は、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。今や社長となった同期の嘆き、妻や娘婿の心配、幼なじみらの思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験を重ねていた。やがて、自らの過去を彷徨う竹脇の目に映ったものは――。 (裏表紙より引用)

竹脇正一:養護施設で育ち,先日仕事を退職した。

送別会後に地下鉄の車内で倒れ,現在も集中治療室で眠ったままである。

 

今回は捨て子として育ったものの仕事一筋で生きてきた一人の男を描いた話。

私自身,まだ20代ですが自分はなんて恵まれた環境で生きているのかと思わされました。

昭和の頃を生き抜いてきた方々の苦節をひしひしと伝えてくれます。

 

あなたはつい頑張りすぎていませんか?

恵まれた環境にあやかって楽をしすぎていませんか?

いったん立ち止まってそんなことを考えさせてくれるのではないでしょうか。

一人の男性に焦点を当てた作品ですが,涙だけでなく色々と考えさせてくれる作品だと思いました。

また,本作品は”地下鉄”が主なテーマになっているので電車好きにはたまらないと思います。

 

最後に私が思わずハッとしてしまった表現を紹介します。

退屈はいいものだ。どうでもいいことを考える時間。非生産的な,思考と想像の時間。(中略)それがいつのころからか,どうでもいいことを考えるのは怠惰とされ,非生産的な行為を排除し,自由な思考と想像を封止して生きるようになった。(本文より引用)

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう!