活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

スロウハイツの神様【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『スロウハイツの神様』(辻村深月/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

ある快晴の日。人気作家チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。猟奇的なファンによる、小説を模倣した大量殺人。この事件を境に筆を折ったチヨダ・コーキだったが、ある新聞記事をきっかけに見事復活を遂げる。闇の底にいた彼を救ったもの、それは『コーキの天使』と名付けられた少女からの百二十八通にも及ぶ手紙だった。事件から十年―。売れっ子脚本家・赤羽環と、その友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせたコーキ。しかし『スロウハイツ』の日々は、謎の少女・加々美莉々亜の出現により、思わぬ方向へゆっくりと変化を始める…。
(「BOOK」データベースより引用。)

 

人物紹介


赤羽環:人気急上昇中の脚本家。『スロウハイツ』のオーナー。
狩野壮太:投稿を繰り返す漫画家の卵。
チヨダ・コーキ:本名は千代田公輝。中高生に絶大な人気を誇る小説家。
長野正義:映画製作会社で働く監督の卵。
森永すみれ
:画家の卵。正義の彼女。炊事担当。
黒木智志:チヨダ・コーキを売り出した敏腕編集者。

感想

今回は『スロウハイツ』というシェアハウスで送られる日々をつづった作品です。
登場人物はいずれも何かしたらの創作活動で芸術に携わっているような人たちです。
上下巻に分かれているためボリュームはあります。

私はその辺にいるような会社員であるため、創作を生業にしている方は自分と違った気苦労があるんだなぁと思いながら読んでいました。

最初は何気ない日常がそれぞれの視点で描かれるような作品なのかな?と思っていましたが、徐々に謎解き要素を交えつつ登場人物のすれ違いも出てきます。

ちょっとした謎解きを考えつつ、人のすれ違いの歯がゆさがありながらもどこか暖かくなれる作品でした。
自身の夢や追い求めるものに向かって突き進む人たちはどうしてこんなにもカッコいいのでしょうか。

どこか自分にも活力を与えてくれたと思います。
前半は少々退屈するなぁと思っていましたが、気づけば下巻まで一気に読んでいました。
序盤で止めずに読んで本当に良かったです。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

男女を含んだシェアハウスというのはどこかドロドロとした展開を予想してしまうのは私だけでしょうか。
本作品もそのような展開になってしまうのではないか?とハラハラしながら読みましたが、決してそんなことはない美しい内容でした。

決してうまくいかないこともあるからこそ人付き合いなんだと感じさせられました。
もちろん、環とコーキだけでなく他の登場人物たちがどのような運命に向かっていくのか、非常に楽しめながら読むことができました。

そして、芸術のように自身が目指す目標に向かって、ひたむきに努力する人たちは、どうしてこんなにもカッコいいのでしょうか。
彼らの人間関係にもどかしさを感じつつも、どこか応援するように読んでいました。
何様だよって感じですけどね・・・。

個人的に上下巻に分かれてではなく、ドン!と分厚い書籍だったら感じ方も違ったのかなぁと思うことも。
私だけでしょうかね?

本当に上巻だけで読むのを止めなくて良かったなと思います。
スロウハイツの神様をお勧めしてくれた友人には本当に感謝です。

何を伝えたかったのか(これもただの独り言)

人ってどうしてこんなにも不器用なんでしょうかね。
当事者ではなかったり、読んでいる我々だったりすればはっきりと言い表すことができるのに、いざ当事者となると視野角が半分以下になっていることも。

如何せん、何かを目指して努力している人は本当にカッコいい。応援したくなります。
不器用ながらも自身の軸は決してブレることなく邁進していきたいですね。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。