活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

みかんとひよどり【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『みかんとひよどり』(近藤史恵/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

はじめたばかりの猟で遭難してしまった潮田亮二、35歳。相棒の猟犬と途方に暮れていたところ、無愛想な猟師・大高に助けられる。かねてからジビエ料理を出したいと考えていた潮田は、大高の仕留めた獲物を店で出せるよう交渉する。しかし、あっさり断られてしまい―。夢を諦め、ひっそりと生きる猟師。自由奔放でジビエへの愛情を持つオーナー。謎の趣味を持つ敏腕サービス係。ふつうと少し違うけど自分に正直な人たちの中で、潮田は一歩ずつ変わっていく。人生のゆるやかな変化を、きめ細やかに描く、大人の成長物語。
(「BOOK」データベースより引用。)

 

人物紹介


潮田亮二:プロの料理人。だが、いくつもの店を潰し続けている。
大高重実:不愛想な猟師。潮田が山で遭難しているところを助けた。
ピリカ:潮田の飼い犬。イングリッシュポインター
マタベー:大高の飼い犬。北海道犬

感想

mountain fog
今回は料理人と猟師による命をテーマにした作品です。
中でも、動物の命が大きく関わっているような内容ですね。

主人公である潮田はジビエに強いこだわりをもっていますが、果たして自分たちが普段から口にしているものと何が違うのでしょうか。
そして、彼らと共に過ごす犬とは何が違うのでしょうか。
命とは何なのか、という少々哲学じみた内容が組み込まれています。

ただ単に良い本で終わらなかったのがとても良かったです。
ジビエ、殺処分、害獣の駆除といった何気なく生活している中では気付くことのない問題について考えさせてくれる一冊かと思います。

普段の食生活にはとても感謝です。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

いやー、個人的にはまだまだ読み足りなかったです。
潮田や大高が再会してどんな生活を送るのだろうと考えると、もっとくれ!!って感じです・・・(笑)

まぁあとは好きに想像してくれって感じなんでしょうね。
彼らの生活をもっと覗いてみたかったです。

大高は私たちのような生活とは少し離れたような生活をしています。
そんな大高と共に過ごす潮田が感じた感情を紹介します。

時間から自由になれたはずなのに、僕たちの人生は複雑さを増すばかりだ。楽になった代わりの時間に、別のものが流れ込む。
(本書より引用。)

 

世の中はどんどん便利になっているはずなのに、いつも時間に追われているように感じるのはなぜでしょうか(私も今週のブログが書き終わらなくて大変です・・・)。

時間に余裕が生まれたことで、欲が生まれてしまうんでしょうね。
無数にやりたいことがあるからこそ、どこか窮屈さを感じるのでしょうか。

便利すぎることも考えようですね。
さらに便利な世の中となることが想像できません。
5年、10年経ったら全く違う生活を送っているんでしょうね。

何を伝えたかったのか(これもただの独り言)

生き物の命を奪うなんて残酷だ、なんて言われることもありますが、生きるためには仕方ない。
果たして、食べる動物と食べない動物には何の違いがあるのでしょうか(まぁ、一通り食べてみて美味しいものが家畜として飼われることになったんでしょうが・・・)。

ジビエ料理ってほとんど食べたことないんですよね。
幼い頃に猪を食べたことがありますが、当時は味の感想とかよくわからなくて覚えてないです。

害獣として駆除されたものの、食べられることなく殺処分される描写は胸が痛くなりました。

それならジビエだろうが食べてみたい!なんで市場に出回らないんだ!!という声も聞こえてきそうですが、やはり牛や鳥、豚には味とかコスパとかが劣るんでしょうね。

ただ、昆虫食に挑戦しようとするなら、鹿とか猪の方が良くない・・・?と思ってしまうのが私です。
手入れとか流通させるのが大変だから仕方ないんでしょうけどね。

機会があれば積極的に挑戦してみたいですね。
ジビエが好きな友人もいるので、色々と教えてもらおうと思います。

命の大切さと共に、命をいただくことの大変さを再認識した作品でした。
日々の食生活には感謝しかありません。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。