活字紀行

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あの日の恋をかなえるために僕は旅する【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『あの日の恋をかなえるために僕は過去を旅する』(西澤保彦/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

父が殺された。姉は事件をきっかけに恋人と別れ、望まぬ結婚をした。父が殺される数日前にタイムスリップした僕は、姉の元恋人である少女とともに父の死の真相に迫るが……。
僕らは殺人をふせぎ、“あの日の恋”を果たせるのか?
家族の愛と性を優しくも切なく描いたタイムスリップ・ミステリー。
(本書より引用。)

 

人物紹介


永広影二:文学部の助教授。二十世紀最後の日に実家へ帰るところだった。
月鎮季里子:「アニスの実の果実」の著者。バイセクシャル
永広美保:影二の姉。レズビアン。影二は養子として引き取ったため、血のつながりはない。

 

感想

train station

今回はタイムスリップを元にしたSFミステリ作品です。
実家に帰省中、ふとしたら父親が殺されてしまった年である23年前にタイムスリップしてしまうところから物語は始まります。

主人公の姉である美保はレズビアンであり、当時付き合っていた季里子はバイセクシャルという、昨今の情勢に合わせたような作品ですね。
とは言っても、原作が出版されたのは20年も前と言うのは驚きです。

さて、全体の感想ですが、あとがきでもありますようにミステリとして少々タネが弱めかと思います。
父親は果たして誰に殺されたのか、なんとなく想像ができるのではないでしょうか。

ただ、私はSF作品が好きなのでこういったタイムスリップものは大好きです。
影二が持ち込んだ持ち物で影響するものとしないもの、こういった点が読んでいて非常にワクワクしました。

あと、個人的に体は鍛えておこうと思いました。
影二は40歳でしたが、敵わないわと思ったのが悔しいです・・・(笑)

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

元の小説が20年も前に出版されたとは、驚きが隠せません。
LGBTが話題に挙がりがちな昨今の情勢から再出版されたんですかね?

個人的に、当時このような小説が出版されてどのような評価を受けたのか気になるところです。

全体を読み終えて思ったことは、季里子がいなかったら手詰まりだったなぁと非常に思います。
本当に14歳?なのか、と思うほどに聡明な人物で驚きました。

こうやって美保のことも手玉に取ったんだろうなぁと、影二と似た感想をもちました。

最終的には本来あるべき姿に歴史が収まってホッとしました。
現実もこうやって巡り巡っているのかなぁ、と理系みたいな感想を持ちました。

私には少々理解しきれない部分があったかと思います。
巻末に記載された解説のような文言には、心当たりのない内容も記載されており、頭に?が浮かびました。
メモと共に再読しようと思います。

内容としては、今だからこそ読んでほしい一冊でした。
ただのSFミステリ作品ではないのが一つの魅力かと思います。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。