活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

十二人の死にたい子どもたち【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『十二人の死にたい子どもたち』(冲方丁/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。建物に入り、金庫を開けると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にする決まりだった。初対面同士の子どもたちの目的は、みんなで安楽死をすること。病院の一室で、すぐにそれは実行されるはずだった。しかし、十二人が集まった部屋のベッドにはすでに一人の少年が横たわっていた。彼は一体何者なのか、誰かが彼を殺したのではないか。このまま計画を実行してもいいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、十二人の子どもたちは多数決を取ろうとする。
(「BOOK」データベースより引用。)

 

人物紹介


サトシ:今回の企画の主催者。1番。
ケンイチ:瘦せ型で陰鬱な表情を浮かべている。2番。
ミツエ:事あるごとに入念なメイクを行う。3番。
リョウコ:ニット帽を目深にかぶり、マスクを着用。4番。
シンジロウ:病気もちだが、考察好きな少年。5番。
メイコ:自分の意思が弱い。6番。
アンリ:自信に満ちた少女。7番。
タカヒロ:吃音。幼い頃から薬を飲んでいる。8番。
ノブオ:社交的な少年。9番。
セイゴ:がっしりとした体形。10番。
マイ:いわゆる金髪ギャル。11番。
ユキ:じっと黙って何かに怯えている。12番。

感想

今回はタイトルにあるように、12人の死にたい子供たちに焦点を当てた作品です。

登場人物も多いため、手元にメモがあった方がわかりやすいかもですね。
私は電子書籍で読んだため、紙と比べたら物語冒頭に戻るのが少々大変ですが、紙媒体で読む方はメモが不要かもしれませんね。

それぞれの思いを胸に、集団自殺を図ろうとした12人の子供たち。
しかし、現地に集まったところ、誰の身にも覚えのない13人目の子供がすでにベットに横たわっているのが見つかる。
彼は何者なのか、誰かが彼を殺そうとしているのではないか、というところから物語は始まります。

果たしてからは何者なのか。
そして集まった12人の子供たちはどうして自殺に思い立ったのか。
そんなことを考えながら読んでもらえればなと思います。

映画化もされているようですが、かなり賛否両論みたいですね。
人物を把握するうえでは映像の方が良いと思うので、私もいつか見てみたいですが。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

個人的には人数が多く、誰が誰だか把握しきれなくなってしまいました。
メモ必須でした。
あとは誰視点だ?と戸惑ってしまうこともあったので、少々読むのが大変でした。

さて、全体を読み終えての感想ですが、無事に彼らが少しでも前向きになれて安心しました。

子供らが若くして自身の人生を終わりにしてしまう事件はとても悲しくなります。
フィクションだとはわかっていますが、彼らが自殺を決意した理由を知るシーンは読んでいて辛かったです。

ただ、ミステリとしては楽しめました。
全く予想違いでしたけどね・・・。

何を伝えたかったのか(これもただの独り言)

自殺。
年齢を問わず、何とも重いテーマですね。

私は11番であるマイの自殺する理由について判明するシーンがとても印象的でした。
周りからはそんな理由で自殺するのか?という空気が流れますが、マイ本人は非常に重くとらえていることがわかります。

自殺する理由としては、そんな些細なことで?と揶揄されることもありますが、本人の苦しみは本人にしかわからないですもんね。
そんなことを痛感させられた一冊でした。

周りの人間を非難することは容易ですが、実際に自分と親しい人が自殺を考えて悩んでいたら何ができるのでしょうか。
できることなんて少ないんだろうなぁ、とどこか悲しくなりました。

助けを求めるのは決して恥ずかしい事ではないと思いますが、決して簡単なことではないのが非常に難しい点ですね。
自殺問題について改めて考えさせられた一冊でした。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。