活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

君のクイズ【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『君のクイズ』(小川哲/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

『Q-1グランプリ』決勝戦。クイズプレーヤー三島玲央は、対戦相手・本庄の不可解な正答をいぶかしむ。彼はなぜ正答できたのか? 真相解明のため彼について調べ決勝を1問ずつ振り返る三島は──。一気読み必至! 鬼才の放つ唯一無二のクイズ小説。
(本書より引用。)

 

人物紹介


三島玲央:第一回"Q-1グランプリ"のファイナリスト。中学生の頃からクイズを始めた。
本庄絆:三島の対戦相手。問題が読まれる前に回答し、優勝した。

感想

今回はクイズを題材とした珍しい作品です。
テレビ番組やYouTubeなど、クイズを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

クイズを受ける人がどのようなことを考えているか知っていますか?
そんな彼らの考え方が少し伺えるような一冊です。

主人公である三島は"Q1-グランプリ"というクイズの大会で優勝をかけて戦っています。
しかし、対戦相手である本庄は問題文が読まれる前に解答し、優勝してしまう。

本庄にはヤラセが疑われるが、いったい彼はなぜ優勝できたのか。
そんなミステリ要素もあるため、その点も考えながら読んでもらえればなと思います。

今までにはなかった作風で最後まで楽しく読めました。
正解とはなんなのか、ぜひ自分の胸に手を当てながら読んでみてください。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

クイズに挑戦ってしたことはないので、こんなことを考えながら解答を探しているんだなぁと新鮮でした。
一般的な試験と違って、瞬発力とか思考の速さとかが重要視されそうです。
(私は椅子に座ってじっくり考えたい派なので向いてなさそうです・・・。)

さて、ヤラセ疑惑が出ていた対戦相手の本庄絆ですが、そんなことはなく三島も報われたようで良かったです。

彼は中学生の頃から競技としてのクイズに取り組んでいるようですが、このようなコメントをしています。

人間としてはとても未熟だ。多くの間違いをしてきたと思う。でも、クイズをしていたおかげで、自分を肯定することができた。
(本書より引用。)


明確な答えがないこの人生と言う中で、多くの失敗をしてきたという彼。
だが、クイズで正解することで自分がまるで肯定されたと感じたという。

クイズとは人生である。
(本書より引用。)

 

まさに、彼にとってクイズとは人生だったのでしょう。
私は彼の言うクイズを学問レベルの試験に置き換えて読んでいましたが、肯定されるという感覚が少しわかる気がします。

問題に正解すると、他人に褒められると、なんだか認められた気がする。
そんなところなのかなぁと勝手に思いました。

彼が今後どのような人生を歩むのかわかりませんが、変わらずクイズを好きでいてほしいですね。

何を伝えたかったのか(これもただの独り言)

クイズって、なんとも特殊なものですね。
作中ではこのような表現がありました。

 

世の中にのほとんどのクイズには答えがない。むしろ、答えがある一部の問題だけを切り出したものが、僕たちがやっているクイズという競技なのかもしれない。
(本書より引用。)


確かに正解がある方が珍しい。
晩飯は何を食べようか、仕事で抱えている問題はどのように解決するべきか、これから何をしようか。

よく言えば何をしてもいいと言えるのかもしれないが、時には最善をたどる必要がある。
学生時代の勉強には明確な答えがあることがほとんどだったものの、それ以外では決してそんなことはない。

あーあ、誰かが明確な答えを出してくれれば良いのになぁと思うことも。
まぁ人生なんて答えがないし、寄り道ばかりでいいんだなとも思えました。

間違えたって問題ない事の方が多いですし。
人の迷惑にならないよう、気楽に生きていこうと思います(笑)

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。