活字紀行

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テスカトリポカ【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『テスカトリポカ』(佐藤究/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。
(本書より引用。)

 

人物紹介


バルミロ:麻薬密売人。新たに臓器売買のビジネスを始める。別名"調理師(エル・コシネーロ)"
末永充嗣:心臓血管外科医。
野村健二:末永と同じく闇医師。以前は麻酔科の医師。
コシモ:本名は土方小霜。父親を殺してから年少にいた。巨人で力も強い。

 

感想

church arts

今回は宗教や薬物、臓器売買といった内容ばかりの犯罪小説です。
今となっては死語?かもしれませんが、アングラ感あふれる一冊となっています。

序盤から一人称視点がコロコロと変わり、一体どんな話なんだ?となりますが、徐々に登場人物が交錯していきます。
少々退屈な場面もありましたが、中盤あたりから物語にぐいぐい引き込まれていきました。

先ほども言いましたように、本作品は犯罪描写が多々あります。
落ち込んでいる時や精神的に弱っている時に読むような小説ではないですね。
ぜひ元気な時で時間がたくさんあるときに一読ください。

読み終わってみれば本編は639ページもあったそうで。
グロテスクな描写があまり得意ではない私でものめりこめた一冊でした。
個人的には、映像だったら耐えられないものも多々ありましたが・・・。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

もう一回読みますね、確実に。
内容がよくわからなかったからもう一度読むとかではなく、純粋に面白かったから再読しますね。
私には宗教の下りとかが理解しにくく、そういった点を読み直したいというのもありそうですが、読了後の満足感たるや。

絶対に理解できていない伏線とかありますし。
薬物や臓器売買といった犯罪描写がたくさんあるにも関わらず、どうしてここまで引き込まれるのでしょうか。

バルミロが拷問するシーンとか、思わずうわーとなってしまいましたし。
液体窒素で腕を凍らせてハンマーでたたき割るとか正気ですか?
一種の怖いもの見たさが、文字でここまでありありと表現されているとは。
ホラー小説とは違った良さがありました。

序盤から姿が出てきていたにも関わらず、なかなか本編(バルミロらの話)に関与してこなく、どんな結末を迎えるのかとハラハラしていました。

ここ最近、『ケーキの切れない非行少年たち』を読んだこともあって、コシモに感情移入してしまった部分が多かったです。

 

コシモはパブロと出会えてよかったなぁと思うと同時に、出会い方さえ違えばきっと幸せになれていただろうになぁと思うと心が苦しいものがあります。

コシモ、そしてパブロの家族が少しでも幸せで生きられることを願います。


何を伝えたかったのか(これもただの独り言)

んー、何かありますかね。
正直、話として面白すぎて何か伝わってくるかと言われれば・・・。
まぁ、薬物とか臓器売買だなんて犯罪はするべきじゃないですね。
ここまで徹底的に裏社会で生きていける気とかしないです。

あとは、登場人物が当たり前のようにドラッグを常用していて、あれ?こんなに敷居の低いものだっけ?と混乱してしまいました。
薬物なんて犯罪ですし、絶対にやってはいけないものですからね。

ある意味で、真っ当に生きていこうと思えた一冊でした。
薬物による依存症に悩まされる小説とかも読んだことがありますが、そういったものとは違う恐ろしさがありました。

恐ろしい世界観であるものの、ここまで引き込まれてしまうとは。
序盤は何の話なんだ?と戸惑いながら読んでいましたが、本当に読んで良かった一冊です。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。