活字紀行

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ゴールデンスランバー【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない―。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。
(「BOOK」データベースより引用。)

 

人物紹介


青柳雅春:配達の仕事をしていた青年。以前、アイドルを助けてヒーローとたたえられたことがあった。首相暗殺の犯人として追われることに。
樋口晴子:学生時代に青柳とは付き合っていた。首相が暗殺されるところをテレビで見ていた。
森田森吾:青柳や樋口とは学生時代の友人。森の声が聞こえるとよく言っていた。

 

感想

今回は首相暗殺の容疑をかけられた一人の青年の逃走劇を描いた一冊です。
明らかにケネディ大統領暗殺事件を彷彿とさせるような展開となっております。

タイトルにある"ゴールデンスランバー"とは、ビートルズの曲から来ています。
歌詞が引用されたり、彼らの背景も作中で登場してくるため、ビートルズ好きにはたまらない一冊ではないでしょうか。
首相暗殺という決して明るくないテーマでありながらも、どこか明るくコミカルに楽しめるのが本作品の一つの魅力だと思いました。

主人公である青柳が登場するまで少々時間がかかりますが、そこからは一気に読めるかと思います。
彼の逃走劇にはハラハラが止まりませんでした。
一体、最終的にどこに行きつくのだろう、と非常に楽しみながら読み進めていました。

果たして、青柳の運命はどうなるのか、どうして彼は追われるみとなったのか、皆さんの目で一読していただければなと思います。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

結局、誰が何を思って青柳を陥れたのでしょうか。
ヒーローとして世間を賑わせたことから発生した嫉妬心でしょうか。
だとしても、ここまで徹底的に彼を陥れようとするのでしょうか。
そういった点がいまいち理解できませんでした。(私の理解力不足かもしれませんが・・・。)
国家による力で彼は何も悪くない、ただ単に巻き込まれただけなんでしょうか。

読了後に、再び第三部(事件から二十年後)を読み直してみましたが、結局わからずじまいでした。
事件の詳細や犯人像も不明のままという認識で合っていますよね。
そしたら、あとはご想像にお任せしますということなんでしょうか。

なぞらえているであろう、ケネディ大統領暗殺事件も全貌が明らかとなっていないですもんね。
事実は小説よりも奇なりとよく言いますが、今回はどちらも不可解なまま終わってしまった印象があります。

感情移入しがちな私は、青柳が報われないまま終わってしまって少々残念でした。
現実とはなんと無常なのでしょうか。

ただ、友人である森田森吾のセリフを守れましたね。

「おまえは逃げるしかねえってことだ。いいか、青柳、逃げろよ。無様な姿を晒してもいいから、とにかく逃げて、生きろ。人間、生きてなんぼだ」
(本書より引用。)


無様な姿を晒すこととなってしまいましたが、とにかく逃げて生きることができた青柳の生き様はどこか格好良いものがありました。
彼の今後が少しでもより良いものとなるように願うばかりです。


何を伝えたかったのか(これもただの独り言)

犯人像に仕立て上げられるのって、どこか現実味が感じられないですが、実際にこういう立場になったら逃げられるのでしょうか。
青柳はいつ捕まってしまうのだろうか、と思いながら読んでいましたが、無事?に逃げ切られるとは。

整形することにはなってしまいましたが、最後まで逃げ切った様は本当に格好良かったです。
結局なぜあそこまで青柳に執着していたのか、私には読み解けませんでしたが、特に理由はないんですかね。

実際のケネディ大統領暗殺事件もわからずじまいですよね?
こういった不可解なものも余韻として楽しめるということでしょうか。
なんだか、もう一度読み直したい一冊でした。
伏線もたくさんあったので、二度目はまた感じ方は違うんだろうなと。

読む手が止まらない一冊で、非常に面白かったです。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。