活字紀行

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もういちど生まれる【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『もういちど生まれる』(朝井リョウ/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

彼氏がいるのに、別の人にも好意を寄せられている汐梨。バイトを次々と替える翔多。絵を描きながら母を想う新。美人の姉が大嫌いな双子の妹・梢。才能に限界を感じながらもダンスを続ける遥。みんな、恥ずかしいプライドやこみ上げる焦りを抱えながら、一歩踏み出そうとしている。若者だけが感受できる世界の輝きに満ちた、爽快な青春小説。(本書より引用。)

 

人物紹介

汐梨:尾崎という彼氏がいる。風人やひーちゃんと一緒に麻雀をよくする。
翔多:大学入学当初から椿に思いを寄せる。バイトを転々としていた。
美大に通って絵を描く青年。
:現在、浪人生。美人な双子の姉、椿を疎ましく思っている。
:翔多からはハルと呼ばれて慕われる。ダンスの専門学校に通う。

 

感想

harbad university 

今回はもうすぐ20歳になる19歳の大学生に焦点を当てた作品です。
20歳を目前に控えた方に読んでほしいと何度思ったことか。

私には既に20歳は通り過ぎてしまった年代ですが、思わず当時を思い出して懐かしい気持ちになりました。

内容としては、5人に焦点が当てられた短編集となっています。
最初はそれぞれが独立しているのかな?と思っていましたが、それぞれの繋がりが徐々に明らかになってきます。

その話では分からなかった人物の苦悩が別の話でわかると、思わず切ねぇ・・・とつぶやいてしまうほど。

高校生、そして大学生ならではの葛藤が如実に表れた作品だと思います。

純粋であるからこそ、新しく知ってしまうことは時に残酷だったり儚いものだったりしますよね。まさにそんな一冊でした。

私は中でも、『破りたかったもののすべて』が一番好きでした。

ネタバレありのコメント

正に、自分は自分で良いんだよを体現したような一冊。
周りがどうであろうと自分は自分でしかない。

それでも、ふと瞬間に他人と自分を比べてしまう。
そんな生きづらさがひしひしと感じられます。

新しく何かを学ぼうとすることは素晴らしいことでありながらも、どこか残酷な事実をたたきつけることだってある。

純粋であることの奇麗さ、現実という免れることのない事実。
当時の懐かしい気持ちを思い出させてくれるだけでなく、どこか寂しさを感じずにはいられませんでした。

朝井リョウさんの作品である、『桐島、部活やめるってよ』が高校生に贈りたい作品だとすると、この『もういちど生まれる』はぜひとも大学生に手に取っていただきたい一冊ですね。

私自身も当時にこの本を読んでいたら、今以上に思う所があったのではないかと思います。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。