活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

死神の精度【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『死神の精度』(伊坂幸太郎/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

 

こんな人物が身近に現れたら、彼/彼女は死神かもしれません──(1)CDショップに入りびたり(2)苗字が町や市の名前と同じ(3)会話の受け答えが微妙にずれていて(4)素手で他人に触ろうとしない。1週間の調査の後、死神は対象者の死に「可」「否」の判断を下し、「可」ならば翌8日目に死は実行される。ただし、病死や自殺は除外。まれに死神を感じる人間がいる。──クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う、6つの人生。(本書より引用。)

 

人物紹介

 

千葉:千葉と名乗る死神。対象者と関わりをもち、その人の死は可か見送りかの判定をする。

 

感想

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今回は人の死に"可"か"見送り"か判定を下す死神の話です。
死神というとちょっと不気味な感じがしますが、もしかしたら現実でも起こっているのかも?と想像を掻き立てられます。

えー、単刀直入に言います。
私、この作品がとても好きです(笑)

著者である伊坂幸太郎さんの作品ってこれまでに何冊も読みましたが、一番好きになったかもしれません。
これまでは砂漠という作品が一番でしたが、超えてきた気がします。
興味のある方はこちらもぜひ!!


死神は無機質でありながらも、どこか感情があるのではないかと錯覚を覚えます。
千葉はただ単に"可"の判定を下すのではなく、しっかり調査を行ってうえで判断しています。
死神たちはこぞってミュージックを好むというのも何だかいいなって(笑)

人間だなんて、いつ死ぬか誰にもわからないことなんだからもっと悔いのないように楽しく過ごしたいと再認識しました。

作中ではこんなセリフもありました。

人が生きているうちの大半は、人生じゃなくて、ただの時間、だ

これ誰の名言なんだろう?(2000年ほど前にいた思想家とのことだったので)と思って読了後に調べましたが、特に出てきませんでした。
作中で出てきたオリジナルの文言でしょうが、とてもいい表現だなと思いました。

本作は短編で構成されているので、活字が苦手な方も読みやすいのではないでしょうか。
人の死といっても、決して重い作品ではないので楽しんでいただけたらなと思います。

ネタバレありのコメント

大抵は"可"の判定をするといっていたのに、序盤からいきなり"見送り"をしたので、これは後々また何かあるのでは?と思っていましたが、期待通りでした。
私はこういう展開が大好物なんですよね。
お、きたきたこれだよこれ、だなんて読みながら嬉しくなりましたよ(笑)

余談ですが、作中で出てきた奥入瀬渓流にはいつか行ってみたいです!
きっと素敵な景色が見えるはずですよね?
もし天候が優れていないようだったら、私は周囲にこの千葉さんのような死神の存在を疑いたいと思います(笑)