こんにちはしろはです。
今回は『昨日の海は』(近藤史恵/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。
あらすじ
いつも通りの夏のはずだった。その事件のことを知るまでは……。海辺の小さな町で暮らす高校生・光介。夏休みに入ったある日、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、心中と聞かされていた祖父母の死が、実は「どちらかがどちらかを殺した」無理心中事件であり、ここで生きていくために事実をはっきりさせたい、という決意を聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルも務めていた祖母。二人の間にいったい何が起こったのか。残された写真が語るもの、関係者たちの歪んだ記憶、小さな嘘……。そして真相を追う光介が辿り着いた、衝撃的な事実とは……。(本書より引用。)
人物紹介
光介:演劇部に所属する高校一年生。
夢:光介の母親。姉の芹には恩を感じている。
亮介:光介の父親。旅館に勤務する。
芹:夢の姉であり,光介の叔母。ひょんなことから故郷の磯ノ森にやってきた。
双葉:芹の一人娘。光介の従姉妹にあたる8歳。
庸平:芹と夢の父親。有名な写真家だった。
華子:芹と夢の母親。モデルで庸平のポートレート役を担っていた。
感想・総括
今回は四国の磯ノ森という地を舞台とした青春ミステリーです。
青春ミステリーとはいうもののミステリー要素はそこまで強くなく,主人公である光介があるきっかけを経て成長する話ではないかなぁという印象を受けました。
光介の従姉妹である双葉とその親である芹が引っ越してきた所から物語は始まります。
初対面である双葉は8歳でありながらも大人っぽさを感じる言動が見受けられ,本当にこんな少女がいるのか?と思うほどでした。
田舎である磯ノ森で育った光介と,都会で育ったと思われる双葉を対照として表現するためなんでしょうね。ただ,所々に年相応な幼さがあって可愛らしいなと思いました。
読み始めは,年頃な少年が突如として複雑な家庭環境へと巻き込まれることで嫌な気持ちにさせてくるのではないかと構えておりましたが,そんなことは全く無く非常に読みやすかったです。
ミステリー要素は弱めであるため,ミステリーが読みたいという方には物足りないと思います。
この作品は光介の成長を綴った一冊であり,今後の指針を示すきっかけとなったのではないでしょうか。
あの初めて一人旅に行くドキドキとワクワク具合は何なんでしょうかね。
私も当時のことを懐かしく思うとともに,夢を追い求める方々を応援したいと思えるような作品でした。
完全に余談ですが,四国って一度も行ったことがないからいつの日か行ってみたいなぁとぼんやり思いました。
評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。
閲覧くださり,ありがとうございました。
気になった方は是非読んでみてください!
ではまたの機会にお会いしましょう!