活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

ペッパーズ・ゴースト【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『ペッパーズ・ゴースト』(伊坂幸太郎/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

中学の国語教師・檀は猫を愛する奇妙な二人組が暴れる小説原稿を生徒から渡される。さらに檀は他人の未来が少し観える不思議な力を持つことからサークルと呼ばれるグループに関わり始め……。(本書より引用。)

 

人物紹介

壇千郷:中学校の国語教師。代々、他人の飛沫を浴びるとその人の未来が見える体質をもつ。
布藤鞠子:壇の教え子。自作の小説を書いて、檀先生に見せている。
ロシアンブル:布藤が書く小説に登場する人物。ネコジゴハンターで悲観的な性格。
アメショー:同じくネコジゴハンターで楽観的な性格。

 

感想

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今回は現実世界での描写、そして小説の物語といった2視点で描かれる話です。
そもそもペッパーズ・ゴーストとはどのような意味でしょうか?

ペッパーズ・ゴースト

劇場などで使用される視覚トリックである。板ガラスと特殊な照明技術により、実像と板ガラスに写った「幽霊」を重ねて見せることで効果を発揮する。(Wikipediaより引用。)

端的に言うと、何もないところであたかもそこで何かが起こっているように視認させること、のようですね。

読了前は全く意味を知らずに読んでいましたが、読んでいる最中になるほどなぁと。

一体どんな結末になるんだろう?とハラハラしながら読めました。
作中に哲学描写が多々出てくる作品は初めて読みましたが、どこか新鮮で面白かったです。

読み始めは、この合間に挟まれる小説の展開が気になるからこっちも別枠で描いてくれよ!!と思いながら読んでいましたけどね(笑)

ロシアンブルとアメショー。
性格は真逆でありながらもどこか見ていて安心する2人組でした。
まさに名コンビと呼ぶに相応しかったです。
伊坂幸太郎さんの作品では、こういった特徴ある2人組の印象がどこかあるのは気のせいでしょうか?

最後に、私の好きな表現をいくつかあったので、何個か紹介します。

スポーツ中に笛を吹いた審判が、「どうして反則になったと思いますか?」と訊ねてきたり、(中略)早く答えを言えよ!と内心で言いたくなるのは想像に難くない。

不幸や恐ろしいことは、予想もしてないところからやってくるんだよ。事前に、こうなったら嫌だな、と心配していたことは意外に起きない。(中略)それは、嫌なこととは言えない。

 

ネタバレありのコメント

主人公がまさか飛沫感染することで未来予知できるとは思いませんでしたよ。
イムリーな話題ですが、今のこのご時世だとできませんよね・・・(笑)

対象人物の未来予知をするためには、手段を選ばずに飛沫感染しに行くんですが、なんだか格好付かないなぁって。
切手の下りとかさすがにびっくりしましたよ。

檀先生も、これまで人を救えずにもどかしい思いをされてきたんでしょうね。
今回は先生の苦労が報われて本当に良かったです。

ロシアンブルも撃たれて死んでしまったのか?と思いましたが、変わらずアメショーと談笑している描写があってホッとしました。

それまでは楽観的だったアメショーが、ロシアンブルを気に掛けるシーンはグッとくるものがありましたね。

最近読みすぎでは?ってほどに伊坂幸太郎さんの作品を読んでいますが、定期的に読み漁りたくなってしまうんですよね。
今回も素敵な作品でした。

これは完全に余談ですが、哲学書って結構面白そうだなと思いましたね。
子どもの頃は絶対に読みたいとは思えませんでしたが、大人になった今なら結構読めるのかも?
まぁ、ニーチェはレベルが高く難解なようですので、まずは簡単そうなものから挑戦してみますかね。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。