活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

グラスホッパー【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『グラスホッパー』(伊坂幸太郎/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

 

あらすじ

復讐を横取りされた。元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに――「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。(本書より引用。)

 

人物紹介

鈴木:妻を殺した男に復讐人を抱くが、その男が死亡する瞬間に立ち会うことに。
:自殺専門の殺し屋。あくまでも勝手にその人物が自殺するだけ。
:ナイフ使いの殺し屋。岩西の依頼に従って対象人物を殺すのみ。

 

感想

desk macbook

今回は妻を殺した男に復讐心を抱く元教師、そして違った手法で殺人を行う2人の殺し屋を合わせた3人の視点で描かれる作品です、
実際に読む上では、各視点が切り替わるごとにに対象人物の印鑑が示されているのでわかりやすいと思います。

殺し屋が絡むようなちょっとアングラな世界観でありながらも、人の愚かさや世の理に触れるようなシーンが多々あり、個人的には考えさせられるものがありました。
なるほどなぁ、と思わず本を閉じて考えさせられた描写をいくつか挙げます。

原因を追究したり、打開策を見つけようとしたり、くよくよ悩んだりするのは、絶対、人間特有のものだと思うよ。

感情って人間ならではの美しいものだと思いますが、考えすぎも良くないことですもんね。

世の中の不幸の大半は、誰かが高をくくっていたことが原因なんだってば。

うーん、確かにって思わずうなずいちゃいました。

人間の知恵だとか科学は、人間のためにしか役に立たねえんだよ。分かってんのか?人間がいてくれて良かった、なんて誰も思ってねえよ、人間以外はな。

人間の愚かさが伺えます。結局は人間のエゴでしかないことばかりですからね。

いかがでしょうか?
思わずうなって色々と考えさせられてしまいした。

他にも、殺し屋にも人間らしい心情の表れがあって、この文章表現力は本当に凄いなって。
伊坂幸太郎さんの作品は他にも何冊か読んだことがありますが、どの作品をとっても登場人物の心情表現は圧巻です。
思わず同情したり、応援したりしたくなってしまうのも小説ならではですね。


これは何という小説のジャンルに該当するのだろう?、と考えてしまうようなちょっと不思議な作品ですが、読了後は何も嫌気無くすっきりとした気分にさせてくれます。
心情の描写、場面展開どちらをとっても疾走感のままに読み進めることができました。

最後になりますが、私の一番好きな文章を紹介します。

僕は生きてるみたいに生きるんだ。

いやー、最高です。私自身も死んでいるように生きるのではなく、生きてるみたいに生きたいと思いました。

(余談ですが、今後からブログの構成を工夫していこうと思います。)

評価

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。
閲覧くださり,ありがとうございました。
気になった方は是非読んでみてください!

ではまたの機会にお会いしましょう!