今回は『風は西から』(著者 村山由佳)を読みました。
簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。
大手居酒屋チェーン店”山背”に勤める健介,大手食品メーカー”銀のさじ”に勤める千秋。
そんな2人の恋人が忙しいながらも2人での時間を大事にしていく。
店長になる,と張り切っていた健介だったが突然自らの命を絶ってしまう。
千秋は一番近くで健介を見ていたはずなのに助けられなかったことから自分を責めてしまう。
健介の自殺は労災ではないのか,彼の両親と真相に迫る,そんな話です。
伊東千秋:大手食品メーカー”銀のさじ”に勤める。健介とは恋人関係にあたる。
9年近くの長い付き合いだが,時々健介に対して不服に思うこともある。
藤井健介:大手居酒屋チェーン店”山背”に勤める。
”山背”で経験を積んで行く行くは実家の創作居酒屋”ふじ”を継ごうと考えている。
今回は1人の青年が自殺してしまい,その真相に迫っていく話です。
買った頃には背表紙のあらすじを読んでいたはずなのに,突然に健介が自殺してしまって非常に驚きましたね。
前半は健介の生活の闇が垣間見える中で日々が描かれて行きます。
千秋の視点,健介の視点とそれぞれが展開されていきます。
健介の店長としての生活は壮絶なもので,読んでいるだけでも思わず苦しくなりました。
ただ,どんな展開がされていくのか世界観へとどんどん引き込まれましたね。
テーマがテーマだけあって非常に色々と考えさせられました。
こんなご時世で著名人の訃報が報じられることもありますが,日本にはまだまだ多くの自殺者が出ています。
そういう人が減らない中で誰かに相談はできなかったのか,という意見になることもありますが,この作品を読んでその考えだけでは甘いのだなと思いました。
そういう行動を起こす人にしかわからない,相談できるような精神状態ではない,そんなこともあるから自殺というのは未然に防ぐことが難しいんだなと。
さて,物語の後半には千秋と健介の両親が”山背”と戦う展開がされていきます。
健介の自殺は彼が弱かったからでありわが社には問題が無いと暗示する”山背”,労災とにあたるはずだとし”山背”に謝罪を要求する千秋ら。
明るい性格で全身全霊を傾けて働いた健介が自殺に至った出来事。
千秋らの要求は”山背”が飲むことはあるのか,ぜひ読んでみて欲しいです。
今一度,近くにいる大切な人のことを思う,そして辛いときには人と話して逃げることの大切さと大変さを再認識させてくれる,そんな作品でした。
評価は 5.0/5.0 とさせていただきます。
閲覧くださり,ありがとうございました。
気になった方は是非読んでみてください!
ではまたの機会にお会いしましょう!