活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

『後悔病棟』 著者 垣谷美雨

今回は『後悔病棟』(著者 垣谷美雨)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

「過去に戻れる聴診器」を使ってみたら…。
33歳の医師・早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、「患者の気持ちがわからない女医」というレッテルを貼られ、悩んでいる。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の心の“後悔”が聞こえてくるのだ。
「過去に戻って、もう一度、人生をやり直したい」
聴診器の力を借りて、“もうひとつの人生”の扉を開けた患者たちが見たものは。

(裏表紙より引用)

 

早坂ルミ(主人公):患者の気持ちがわからないという悩みをもつ33歳の女医。

ある日,病院の庭で患者の心情が伝わる不思議な聴診器を拾う。

 

今回は1人の悩める女医を中心に描いたちファンタジー要素のある医療小説。

全四部構成で4人の患者が登場します。

登場する患者はいずれも余命わずかな方々ばかりなので,内容は結構重めです。

聴診器を通じて患者たちの後悔を聞き,それを解決していくのがおおまかな流れとなるのですが,少々しつこく感じてしまいました。

 

ただ,もしこの時こうだったらといった”後悔”というものについて考えさせてくれました。

私もこんな後悔があるな,とか思い出しますが今とこれからの大事さを感じさせてくれます。

これからがない患者たちの後悔に触れてそんな感情を覚えるのもどうかと思いますが…。

”後悔”について,そしてこれからの自分を少しでも前向きにさせてくれる,そんな作品でした。

 

評価は 3.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

後悔病棟 (小学館文庫)

後悔病棟 (小学館文庫)

 

 

  ではまたの機会にお会いしましょう!

『ジョゼと虎と魚たち』 著者 田辺

今回は『ジョゼと虎と魚たち』(著者 田辺聖子)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

短編小説であるため,登場人物紹介は割愛させていただきます。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

足が悪いジョゼは車椅子がないと動けない。世間から身を隠すように暮らし、ほとんど外出したことのない、市松人形のようなジョゼと、管理人として同棲中の、大学をでたばかりの恒夫。どこかあやうくて、不思議にエロティックな男女の関係を描く表題作「ジョゼと虎と魚たち」のほか、仕事をもったオトナの女を主人公にさまざまな愛と別れを描いて、素敵に胸おどる短篇、八篇を収録した珠玉の作品集。

(裏表紙より引用)

 

今回は女性視点で描かれた恋愛短編小説となっています。

どちらかといえば女性向けの小説かな?といった印象を受けます。

ただ,男性であろうときっと楽しめるはずです!

あと大阪弁を話す登場人物が多く出てくるので,馴染みのある人には特にオススメです。

私自身も大阪弁ではありませんが,一時期は関西弁を話していたので懐かしい気持ちになれました。

 

さて,表題にある『ジョゼと虎と魚たち』では足の不自由なジョゼという女性が登場します。

障碍者”は一見生々しく描かれがちですが,不器用さだけでなく淡い恋心も描かれています。

やはり女性が読むと,女性ならではの感想が出てくるのでしょうね。

短編小説というだけあって活字が苦手な方にもオススメです!

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

  

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

ジョゼと虎と魚たち (角川文庫)

 

 

 ではまたの機会にお会いしましょう!

『幻夏』 著者 太田愛

今回は『幻夏』(著者 太田愛)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

また,今回は私の都合で携帯にて内容記述してますので読みにくいところあったらご容赦ください。

 

「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。

(裏表紙より引用)

 

相馬亮介:深大署交通課の刑事。

鑓水七雄:興信所の所長。相馬の友人。

繁藤修司:興信所の調査員。

水沢尚:23年前に失踪した少年。

水沢拓:尚の弟。

 

今回は行方不明となった少年に焦点を当てたミステリー作品。

この幻夏という作品はシリーズものですが,この作品単体で読んでも充分に楽しめます。

 

このミステリー小説は"冤罪"ということが1つのテーマに取り上げられています。

犯罪が良くない最悪なことだと充分に理解していますが,それと同じように冤罪はあってはならないことだなと改めて思いました。

冤罪を回避することの大切さと難しさを感じさせてくれます。

 

身近なもので言えば痴漢冤罪ですよね。

私にも関係のない話なのでそういう機会にあったらどうすればいいんだろうなと考えさせてくれました。

さて,内容についてはミステリーものであるため触れすぎてしまうとネタバレになってしまうのでこの辺で。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

幻夏 (角川文庫)

幻夏 (角川文庫)

 

 

 ではまたの機会にお会いしましょう!

『崩れる脳を抱きしめて』 著者 知念実希人

今回は『崩れる脳を抱きしめて』(著者 知念実希人)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

広島からホスピスも兼ねているような海沿いの病院に研修しにやってきた碓氷。

研修の中で脳腫瘍を患っている弓狩環という女性の回診を行う。

控室の室外機がうるさいことからユカリの居室を勉強場所として貸してもらうことに。

ユカリさんと心を通わせていくものの,研修を終えて広島に戻った後に彼女の死の知らせを聞く。

彼女はなぜ死んだのか,患者の幸せを第一に考えるこの病院に隠された真実とは…という話です。

 

碓氷蒼馬(主人公):神奈川にある葉山の岬病院に来ている研修医。

家族を捨てていった父親を恨み,家族に楽をさせようと金に執着している。

 

弓狩環:グリオブラストーマと呼ばれる最悪の脳腫瘍を患う女性。

自身のことは"ユカリ"と呼んでもらうようにしている。

 

今回は一人の脳腫瘍を患っている女性と一人の研修医との話。

この作者らしく二転三転が起こるので最後まで油断ができませんでした。

やはりこのような医療が絡んだ作品を読むと健康でいられることに幸せを感じてしまいますね。

病気になってしまったから,この先のことを考えると,

そんなシーンがあると色々と考えさせられてしまいます。

恋愛要素が強めなので,そういうのを求めていない人にはオススメしません。

恋愛要素があるものの,医療ミステリーとなっているため結末を想像しながら読んでみてください。

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

崩れる脳を抱きしめて (実業之日本社文庫)
 

 

 ではまたの機会にお会いしましょう!

『運転者 未来を変える過去からの使者』 著者 喜多川泰

今回は『運転者 未来を変える過去からの使者』(著者 喜多川泰)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

「……なんで俺ばっかりこんな目に遭うんだよ」

大量の保険契約を解約され,思わず独り言をいったところに一台のタクシーが止まる。

思わず手を挙げ乗り込んだところ,自分に必要な場所へと連れて行くと言う。

自分の立たされている境遇や身辺を把握している運転手に不信感を抱きつつも指示に従う。

運転手が連れて行く場所とは,そして今後自分は何をしていくべきなのか…という話です。

 

岡田修一(主人公):生命保険の営業職として勤務中。

完全歩合制の仕事でありながらも大量の契約が解約になって途方に暮れていた。

 

運転者:不思議なタクシーの運転手。名前は"御任瀬卓志(おまかせタクシー)"

突然目の前に現れてメーターの数字が0になるまでどこへでも連れて行く。

 

今回は自己啓発の要素が絡んだちょっとファンタジー性のある話。

知り合いに勧められて読んだんですけど,身に染みるなぁっていうフレーズがたくさん。

自己啓発要素が盛り込まれていながらも何も不快感はないんですよね。

一番感じたのは"運"というものの考え方と言うか捉え方ですかね。

あ,そういう考え方もあるのかって率直に思いましたね!

 

私の好きな表現を2つ紹介します。

運は<いい>か<悪い>で表現するものじゃないんですよ。<使う><貯める>で表現するものなんです。(中略)周囲から<運がいい>と思われている人は,貯まったから使っただけです。

自分の人生にとって何がプラスで何がマイナスかなんて,それが起こっているときにはわかりませんよ。

いかがでしょうか?

私はこの作品を読んで,今後何か新しいこととか不慣れなことを始めるときには,前向きに取り組みたいと思いました!

私にとっての"運転者"はいつどこで出会える誰かなんてわかりませんからね。

 

評価は 5.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

運転者 未来を変える過去からの使者

運転者 未来を変える過去からの使者

 

  

ではまたの機会にお会いしましょう!

『昨夜のカレー,明日のパン』 著者 木更泉

今回は『昨夜のカレー,明日のパン』(著者 木更泉)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

7年前に夫の一樹が25歳で死んでしまったテツコ。

現在は一樹の父である”ギフ”と暮らす。

そんな2人やテツコの恋人岩井さん,一樹の幼馴染が彼の死を受け入れていく…という話です。

 

テツコ:亡くなった夫の父親と同居中。ギフとの生活に慣れ,岩井さんの求婚を断る。

 

”ギフ”:一樹の父親でありテツコの義父にあたる。気象予報士

 

岩井さん:テツコの恋人。一樹が亡くなって7年経つのに未だ義父と同居するテツコに疑問を抱く。

 

今回は若くして亡くなってしまった1人の男性が親しかった人たちの生活を描いた話。

言ってしまえば何事もないような日々だが,要所要所ではその幸せを再認識させてくれる。

ふとした瞬間には一樹を失った悲しみが仄めかされている。

そんな彼らが一樹という1人の死から乗り越えて進んでいくような作品です。

 

私の好きな表現を紹介します。

人間関係というのは,方程式のように,どんな数字を代入しても成り立つ,というものではない。

当たり前な事ですが,非常に難しいものですよね。

きっとこの作品の読んだ後には周りの人に優しくなれるのではないでしょうか?

悲しいようで心のどこかでほっこりとするような作品でした!

 

これは完全に余談ですが,銀杏がとても食べたくなりましたね(笑)

前回の本とは違って今の時期にあっていたので尚更ですかね…?

あとは作中にあったようなパン屋さんに最近は行けていなかったので,久々に行ってきます!

欲張りなのでカレーパンを頂きます(笑)

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

 

 

ではまたの機会にお会いしましょう!

『夏美のホタル』 著者 森沢明夫

今回は『夏美のホタル』(著者 森沢明夫)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

写真家を目指す大学生の慎吾と彼女の夏美。

卒業制作間近に出かけた山奥に小さく古びた一軒の店”たけの屋”を見つける。

そこにはヤスばあちゃんと地蔵じいさんがひっそりと暮らしていた。

慎吾は2人に頼んで卒業制作のためにひと夏を過ごすことに…という話です。

 

慎吾:写真家を目指す大学生。夏美の運転するバイクに乗って”たけの屋”まで来た。

 

夏美:慎吾の彼女で幼稚園教諭。HONDAのCBX400Fが愛車。

 

ヤスばあちゃん:”たけの屋”を経営するおばあちゃん。

 

”地蔵さん”:左半身が思うように動かない。ヤスばあちゃんの息子。

 

今回は一組のカップルが過ごしたひと夏の思い出を描いた話です。

読み始めも読んだ後も,絶対に読む時期間違えたよなぁとおもうばかり…。

まぁ,あらすじでも書きましたがひと夏の描写を描いた表現が多々あるんですよ。

思わず夏の情景を想像してしまうくらい素敵な言い回しがあるだけに残念です。

まぁ私が悪いので,読む方はぜひもっと温かい時期にでも…(笑)

 

この作品の中で,自身の名前のことが話題に挙がるのですがグッときましたね。

名前ほど親の想いが込められたモノはそうそうない気もする。しかも,名前は形のないモノだから,壊したり,失ったりすることもないのだ。そう考えると,これ以上の形見はないようにも思えてくる。

以前から私は自分の名前が結構好きだったのですが,ますます好きになりましたね!

他にも多数の素敵な表現がされているので是非読んでみてください!

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

夏美のホタル (角川文庫)

夏美のホタル (角川文庫)

 

 

 ではまたの機会にお会いしましょう!