活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

ジョーカー・ゲーム【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『ジョーカー・ゲーム』(柳広司/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

 

あらすじ

”魔王”――結城中佐の発案で、陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校”D機関”。その異能の精鋭達が、緊迫の諜報戦を繰り広げる! 吉川英治文学新人賞日本推理作家協会賞に輝く究極のスパイミステリ。(本書より引用。)

 

人物紹介

結城中佐:極秘のスパイ機関であるD機関を指揮する。かつて優秀なスパイだった。
佐久間中尉:スパイ容疑のかかったジョン・ゴードンの家宅捜索を指揮。
蒲生次郎:英国総領事であるアーネスト・グラハムの所に通い、チェスの相手をする。
井沢和男:英国で写真家を経営。前田弥太郎の跡を継いだ。
本間英司憲兵軍曹:上海に勤務。内通者がいるとの名を受けて捜査にあたる。
飛崎弘之少尉:カール・シュナイダーという人物が二重スパイであると疑惑が上がり、捜査にあたる。

 

感想

earth map

今回は昭和初期を舞台とした5部構成の話です。
スパイ物の話で映画化やアニメ化もしている作品みたいですね。
私は小説が初見の作品となりましたが、読みやすく楽しめました。
表紙絵がカッコよく、なんとなくで読みましたが読んで良かったです。

情報勤務要員養成所と呼ばれる通称"D機関"と呼ばれるスパイ養成学校。
この"D機関"に所属する人物たちが素性を明かすことなく、日常に溶け込みながら任務をこなします。
バチバチとアクションが絡むような感じではなく、密かに暗躍している様が正に"スパイ"を表しているようで非常に格好いいと私は思いました。
一種のミステリー作品のように点と点がつながる感覚は爽快です。

スパイの重要性、緊急性を要す緊張感がバチバチと感じられます。
実際の昭和初期でも、そして現在でもこのようなスパイ機関があるのかなぁなんて私はぼんやりと思いました。

短編集であるため、活字が苦手な方も読みやすいのではないでしょうか。
各章ごとに視点となる人物は異なりますし、共通人物は結城中佐だけなので。
是非片手間に、スパイ機関を楽しんでいただけたらなと思います。

全く関係ない話ですが、本編にはシューベルトの魔王が流れている描写があるのですが、学生の頃に授業で聞いたなぁと懐かしい気持ちになりました。
音楽にはあまり関心のない私でさえも、今でも印象に残っている思い出のある曲です。

最後となりますが、私の一番好きなセリフを紹介します。

何かにとらわれて生きることは容易だ。だが、それは自分の目で世界を見る責任を放棄することだ。自分自身であることを放棄することだ。

いやー、痺れますね。
この結城中佐が全編に登場するのですが、いちいち言動が格好良かったです。

評価

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。
閲覧くださり,ありがとうございました。
気になった方は是非読んでみてください!

ではまたの機会にお会いしましょう!