活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

ミッドナイト・モクテル 飲まないあなたのためのバー【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『ミッドナイト・モクテル 飲まないあなたのためのバー』(ゆきた志旗/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

 

あらすじ

 

なかなか厳しい就活を経て、食品卸会社に入社した酒匂(さこう)ミチル。取引先にウケがよさそうな名前だという安直な理由で、“酒類”販売二課に配属されてしまったが、実はお酒はほとんど飲めない。取引先の信頼を得るためと、勧められたお酒を必死に飲んではいる。初めはこれが、大人になる通過儀礼なのだと思っていたが、どうしても美味しいと思えない。学生時代の友達との集まりも、いつしか夜のお酒の店ばかり。孤独と疲れを感じていたある日、引き継いだ取引先のひとつに、極端に注文が少ない「バー」があることに気づく。『SOBER CURIOUS』――この店は、ノンアルコールをたしなむバーであるらしく……?
(本書より引用。)

 

人物紹介


酒匂ミチル:食品卸会社の酒類販売第二課所属。お酒はほぼ飲めない。
沙羅:モクテルバーの常連。夜の仕事をこなす。
瀧川:不愛想なマスター。彼がモクテルを作る。
八雲:バーのアルバイト。お酒周りのうんちく語りが好き。

 

感想

今回は"モクテル"というノンアルコールカクテルを扱うバーでの話です。
モクテルとは見せかけ(mock)のカクテル(cocktail)という造語だそうです。

前回はアル中の本を読んだのに対して、今回は下戸が最初の主人公です。
酒匂という、いかにもお酒が飲めそうな苗字でありながら下戸のミチル。
お酒が飲めないことに対する描写があるのですが、お酒が好きな私でさえも読んでいて辛いものがありました。

昨今だと飲み会の場も減ってお酒が飲めない人への当たりも弱くなってきたのかも?と思っていましたが、こうやって苦労している人もたくさんいるはずですよね。
お酒が好きだからこそ、他人に強要しない人でありたいと思いました。

モクテルというものは初めて知りましたが、いつか飲んでみたいです。
作中ほど製法にこだわらないのであれば自宅でもできそうですよね。

あとは趣味でモクテルとかカクテルを作っているというのが様になっているのでいつか口にしてみたいと思ってしまいました(笑)
いつか家でこっそり挑戦してみようと思います。

お酒好きだけでなくお酒を忌み嫌い人にもお勧めしたい一冊でした。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

全体を読み終えての感想(ただの独り言)

今時こんな酒の考え方する人いるか?と思うような始まり方でしたが、読んで良かったです。
表紙絵がとても綺麗で購入に踏み切ったような本でしたが、良い縁でした。

バーってどうして不思議なつながりが起こるんですかね。
私も以前、とあるバーに通っていたことがありますが、普段生活していたら絶対に関わることのない方とお話する場面が何度もありましたし。
最近ではあまり行けていませんでしたが、久しぶりに行こうかな。

新聞記者が出てきたシーンでは、彼らの生活が壊されてしまうのではないかとひやひやしましたが、穏便に済んで良かったです。

彼女も自分ならではのやり方というか信念を見つけられたようで応援したくなりました。

誰かと語り合うって素晴らしい事ですよね。
そんな話し相手が欲しかったです(笑)

何を伝えたかったのか(これもただの独り言)

アル中とは打って変わって、どこまでも人の繋がりとは美しいものなんだなと思わされました。

下戸にも関わらずお酒関連の部署に配属となってしまったミチル。
過去の失敗から本来の道とは外れたマスターこと瀧川。
そんな瀧川を陰から支える八雲。

たとえうまくいかないことがあったり、失敗してしまったりしたとしても何気ないやり取りで解決することなんてザラにあるんだなって。
自分の中で抱え込んでいたってしょうがないですね。

誰かに吐き出せるからこそ解決する場面なんていくらでもある。
たとえそれがアルコールを伴っていたとしても、伴っていなかったとしても。

なんだか優しい気持ちになれた一冊でした。


今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。