活字紀行

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この恋は世界で一番美しい雨【書評】

こんにちはしろはです。
今回は『この恋は世界でいちばん美しい雨』(宇山佳佑/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。

 

 

あらすじ

 

駆け出しの建築家・誠と、カフェで働く日菜。雨がきっかけで恋に落ちた二人は、鎌倉の海辺の街で愛にあふれた同棲生活を送っていた。しかし、ある雨の日、バイク事故で瀕死の重傷を負ってしまう。目を覚ました彼らの前に、“案内人”と名乗る喪服姿の男女が現れる。そして誠と日菜は、二人合わせて二十年の余命を授かり、生き返ることになるのだが、それは、互いの命を奪い合うという、あまりにも苛酷で切ない日々のはじまりだった―。
(BOOKデータベースより引用)

 

人物紹介

 

雨宮誠:建築家の卵。日菜からは"キョロちゃん"と呼ばれる。
相澤日菜:カフェ"レインドロップス"で働く。キョロちゃんの恋人。

真壁哲平:業界で最も注目されている建築家。
明智:案内人の一人。雨宮のそばに付くことになる。
能登:同じく案内人の一人。日菜のそばにつくことになる。

 

感想

今回は二人の男女が描く儚くも美しい恋愛小説です。
恋愛小説の中でも超王道。真ん中を突いてくるような作品です。

誠と日菜という二人の男女はバイク事故で命を落としてしまいます。
ただ"案内人"と名乗る二人から"ライフシェアリング"を提案されることに。
"ライフシェアリング"とは二人で20年の寿命を共有、奪い合いながら生きていくこと。
そして幸せを感じやすい日菜、悲観的な誠。
この段階で何となく破滅して良くない展開になるんだろうなぁと考えずにはいられませんでした。

結末としてはそこまで後味の悪い作品ではありませんでした。
個人的には、以前より雨が好きになる作品でした。
梅雨シーズンで気が滅入っていた私にはとても良かった作品でした。

仲睦まじい恋人模様には幸せを分けてもらった気もします。
こういった何気ないカフェで過ごす時間って本当に至福のひと時ですよね。

まさにタイトル名を表した一冊でした。

ネタバレありのコメント

これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!

 

物語の結末

悪く言えばご都合主義と捉えられても仕方ないことだと思いますが、救いのあった結末で良かったです。

誠のヒステリックさには少々思う所がありましたが、自分だって同じ立場になったらこうなるのかも?と思って読み進めていました。

いかんせん、日菜が良い子過ぎて彼女が少しでも報われてほしいと願うばかりでした。
そう考えると最後に誠が奇跡を放棄したのは、個人的に満足な結末でした。
誠には申し訳ないですけどね?

日菜が余生はこんな家で過ごしたんだ、と語るシーンには驚きました。
誠が生きていた証は無くなるのでは?と思いましたが、明智さんがそのデータを死守しているとは。

誠は本当に良い人に恵まれましたね。
少々、ヒステリックさに嫌気がさすことがありましたが、読んで良かった作品でした。

日菜、そして腐れ縁である研ちゃんが幸せそうで安心しました。
日菜を失ったあとの研ちゃんを思うと胸が痛いものがありますが。
子供二人と強く生きてほしいですね。

今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。