こんにちはしろはです。
今回は『太陽の子』(灰谷健次郎/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。
あらすじ
ふうちゃんが六年生になった頃、お父さんが心の病気にかかった。お父さんの病気は、どうやら沖縄と戦争に原因があるらしい。なぜ、お父さんの心の中だけ戦争は続くのだろう?
(本書より引用。)
人物紹介
ふうちゃん:小学校六年生。神戸在住。
おとうさん:ふうちゃんのお父さん。心の病気を患っている。
おかあさん:ふうちゃんのお母さん。てだのふあ・おきなわ亭を経営。
ギッチョンチョン:ふうちゃんの口げんか相手。21歳の青年。
オジやん:おかあさんの遠い親戚。店の名前の名付け親。
梶山先生:ふうちゃんの担任。
キヨシ:ギッチョンチョンが店に連れてきた少年。
感想
今回は"沖縄"が1つの大きなテーマになった一冊です。
ふうちゃんの家庭は、"てだのふあ・おきなわ亭"という店を経営しています。
店の名前の語源にはこのような意味があるようです。
てだは太陽、あるいは神、ふあは子、まちがいないやろ、(中略)てだのふあは、ふうちゃんのことなんや。太陽の子ふうちゃんというわけよ。この店をひらいたとき、ふうちゃんはおかあさんのおなかの中でお休み中や。元気で明るい子に育ちますようにって、おきなわ亭の上にわざわざてだのふあをつけたというわけよ。
(本書より引用。)
いい名前だなぁ。
作中でもふうちゃんは太陽の子を体現したような元気な子でいてくれます。
人付き合いがとても暖かく、読んでいてどこか優しい作品になれました。
戦争について
本作品はほのぼのとした話だけではなく、戦争がとても大きな題材となっています。
本編にも沖縄の戦争は30年前に終わっていると記載されていることから、時代背景は1970年代と思われます。
令和のこの時代に戦争の作品に触れることとなるとは思いませんでした。
少々読みにくいな、と冒頭では思っていましたが、読んで本当に良かったです。
私自身、沖縄には行ったことがありませんが、絶対にいつか行きたいです。
感想を言うのが難しいですが、沖縄に言って当時何があったのか、しっかりと目に焼き付けるべきだと思いました。
現在も少々怪しい情勢になってきましたが、平和であることに感謝するばかりです。
学生の課題図書に選ばれることもあるようで、一度は必ず読むべき作品だと思いました。
ネタバレありのコメント
これからはネタバレありのコメントをつらつらと書きますので、見たくないという方はここまでとしてください。
これまで見てくださり、ありがとうございました!
おとうさんについて
正直、お父さんが自ら命を絶ってしまうことになるとは思ってもいませんでした。
なんだかんだおとうさんの病気が治ってハッピーエンドかな?と予想しながら読んでいたので、最後の描写には本当に驚きました。
戦争の残酷さを彷彿とさせるような結末でどこか胸が苦しくなりました。
でもなぜお父さんは自ら命を絶ってしまったのだろう?と疑問が残りました。
書評を書いている方でこのようなことを言っている方がいました。
現実と過去の出来事が区別できなくなっていて、(中略)沖縄に帰ろうとする事は戦争の中に飛び込んでいく事とイコールに感じられたからではないでしょうか。
とても納得しました。
何も罪のない人々の心に爪痕を残す戦争は安易に起こってはならないものなんだと再認識しました。
ただ、日本でもこのようなことがほんの100年前までは起こっていたわけで、決して風化させてはならない出来事だとも再認識しました。
今回はこの辺で。
閲覧くださり、ありがとうございました。
またの機会にお会いしましょう。