こんにちはしろはです。
本年も宜しくお願い致します!!
今回は『汚れた手をそこで拭かない』(芦沢央/著)を紹介します。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので、ご注意ください。
あらすじ
平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。
元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。
気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、
見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。
取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。(本書より引用。)
感想
今回は短編5つから構成された作品です。
内容としては、日常でも簡単に起こりえるような恐怖体験が描かれています。
結末が想像しにくいことからもミステリー作品となっています。
5つに共通しているのは、とある失敗を犯してしまった人物がこっそりと秘密裏に解決しようとするが、徐々に追い詰められていくという点です。
一部は当人の失敗ではないですが、不気味な演出があります。
あーあ、そんなこと止めておけばいいのにだなんて思いながら読んでいましたが、当人だとしたらそんな冷静でいられないかもしれませんよね。
実際に起こり得る失態だからこそ想像しやすく、ゾッとする体験を味わえるのではないでしょうか。
人間、やっぱ悪いことはするものじゃないですね。
ネタバレありのコメント
読む前からなんとなく読了後は後味の悪いものだろうなぁとは思っていましたが、案の定でした。
実際に私生活でも起こり得ることだからここまでの臨場感がありますよね。
些細な失敗や過ちから徐々に追い詰められ、堕ちていく。
ふと気づいた時には取り返しのつかない事態となっている。
本書は、そんな恐怖体験が5回も体験できますよ(笑)
倒叙トリックとは違った恐怖体験ができました。
"汚れた手"ということが自身の失態を表し、"そこで拭かない"ということがそんな誤った対処法せずに己の失敗を認めるべき、ということを表しているんですかね。
このタイトルの話があるならば、いつか読んでみたいです。
ただ、私には少々内容が物足りない気がしました。
片手間に読む本としては十分すぎるほどに満足感が得られると思います。
悪いことしてしまったら、手遅れになる前に正直でありたいと思いました。
いざという時に、助けてくれる人は必ずいるはずですよね!