活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

思春期ならではの心理描写を現した一冊。

今回は『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹/著)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単なあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは徐々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日――直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。 (本書より引用。)

 

山田なぎさ:中学二年生の少女,クラスでは飼育係を担当。転校生の藻屑と接点をもつようになる。

海野藻屑:なぎさのクラスに転校してきた少女。ミネラルウォーターを片手に自分は人魚だと名乗る。

 

今回は中学生が中心に繰り広げられる青春小説です。

他の方も感想で述べられていたようにタイトルから内容が全く想像がつかないものとなっています。

率直に言ってしまうと,少々胸糞悪い描写があります。

その内容に家庭内暴力が大きく関わってきます。

ただ,胸糞悪い展開でありながらも次の展開にどんどん引き込まれてしまうような魅力があります。

中学生ならではの何もできない無力感,家庭内暴力による影響(抵抗できなくなる心理描写等)といったものにグッと来てしまいます。

私が育った環境はどれほど恵まれていたのかと痛感させられました。

読み終わった後にはなんていいタイトルなんだと思わずにはいられませんでしたね!

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう!