今回は『海辺の病院で彼女と話した幾つかのこと』(著者 石川博品)を読みました。
簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。
何気ない日常の最中,突如として謎の奇病が流行り大人が死に至る。
蒼自身も奇病にかかるが生き残り,異能力を手にして突如現れた異形の存在と戦う。
奇病を患いつつも生き延びたかつての仲間たちとの思い出を病院で語る。
少年少女たちに宿る力とは,そして戦いの行方や彼らの辿り着く最後とは…という話です。
上原蒼(主人公):謎の奇病から回復した唯一の少年。
ランニングを趣味としていたが,突如として謎の力が宿り敵と戦うこととなる。
初鹿野ハルカ:かつては蒼と共に敵と戦っていた少女の1人。
見舞い品として蒼から変わった味の食べ物を食べさせられている。
駒木沙也:ハルカと同じようにかつては蒼と共に敵と戦っていた少女。
奇病により,今は寝たきり状態となっている。
今回は謎の奇病が蔓延した世界に異形の存在が現れ,異能力をもった少年少女が戦う話です。
タイトルや挿絵,表紙絵などからちょっとラノベっぽいのかな?と思っていた私が間違っていました(笑)
いざ読んでみれば絶望ばかりの戦いの描写,何気ない幸せを感じる日常が板挟みのような文章構造となっています。
何と言っても文章表現が圧巻です。
語彙力に乏しいので何というのが正しいのかわかりませんが,日常生活はもちろんのことちょっとしたイチャイチャにも思わずドキドキしてしまいました(笑)
お遊びはこの辺にして,戦いのシーンの文章表現ですよ。
血しぶきや息遣いといった戦いの臨場感,生と死の絶望感は素晴らしい限りです。
緊張しながらも読むのが止まらない感じはなかなか味わえるものではないですね!
基本的に戦いは主人公による蒼の復讐劇に近いものなのですが,夢だの望みだの不条理さを感じさせてくれるものも多く考えさせられてしまいました。
ただ,日常にもちょっとクスッとするようなシーンもあり,個人的にはハルカのオオォエエッ!不味ッ!という迫真の演技は最高でした(笑)
夢だの希望だの,世の中の不条理さを感じさせてくれる,そんな作品でした。
評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。
閲覧くださり,ありがとうございました。
気になった方は是非読んでみてください!
ではまたの機会でお会いしましょう!