今回は『陽気な死体は,ぼくの知らない空を見ていた』(著者 田中静人)を読みました。
簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。
※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。
物語の始まりは1996年6月。
小学校5年生だった大地は親友の空とかけがえのない時間を過ごしていく。
そんな空から「明日雨が降ったら,お父さんを殺す」という一言。
死んだ人間が見える大地は彼らとの会話を経て何に辿り着くのか。
そして各々が抱く思いとは…?という話です。
大地(主人公):死んだ人間,死者が見える。会話も可能。空の親友。
空:お父さんを殺すと大地に告げた少女。大地の幼馴染であり唯一の親友。
光:空と同じく幼馴染の少女。昔から体が弱かった。容姿端麗。
悟:空の兄。28歳。空のお父さんがなくなった直後に亡くなる。
大地の前に死者として現れる。
物語は10年にわたって情景が描かれていく。
大地が子供から大人へと成長していく心情が表現されています。
基本的に一人称は大地と悟であるが,死体(悟)にしかわからないこと,
ぼく(大地)にしかわからないこと,この文章表現に凄く引き込まれました。
読み終えた後にタイトルを見ると素敵な言い回しだなと思うと同時に,
それぞれの人物が思いを共有することのできないもどかしさを感じます。
結末としては少し胸糞悪くて納得がいかないですね。
ただ,光が大地や弟の海を思う気持ち,大地が空に対する思い,
空が大地に対する思い,悟が光を思いやる思い,どれも素敵ですね。
空が抱えていた秘密は本当に辛いものですね。
本当にこの子には幸せになってほしい,そう思うばかりです(笑)
大地は「知らぬが仏」の精神で幸せにしてあげて欲しいですね。
海からも頼まれたんだから全うしてほしいです。
再三言いますが,空のことをどうか幸せにしてあげてください…(笑)
友達を思う気持ちは人一倍素敵で最高でした。
辛い描写も多々ありましたが,読めることを止めさせない表現力に感服です。
評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。
閲覧くださり,ありがとうございました。
気になった方は是非読んでみてください!
ではまたの機会でお会いしましょう!