活字紀行

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『夜行』 著者 森見登美彦

今回は『夜行』(著者 森見登美彦)を読みました。

簡単ではありますが,まずは簡単な登場人物とあらすじ紹介から。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご了承ください。

 

十年前,同じ英会話スクールに通っていた男女6人が主要人物。舞台は京都。

当時,6人で行った「鞍馬の火祭」中にメンバーの長谷川さんが失踪。

10年振りに皆で集まって「鞍馬の火祭」に再び行く話。

 

主人公(大橋君):男性。当時は大学二回生。

中井さん:男性。当時は大学院生。 武田君:男性。当時は大学一回生。

藤村さん:女性。当時は一回生。 田辺さん:男性。6人の中で最年長。

長谷川さん:女性。当時は二回生で「鞍馬の火祭」の最中に失踪した人物。

 

この作品は第1章から第5章の5部構成で,第1章から第4章は過去の話で構築。

順に中井さんによる「尾道」の話。武田さんによる「奥飛騨」の話。

藤村さんによる「津軽」の話。田辺さんによる「天竜峡」の話。

 

どの話も誰かかしらが失踪する(未然?)ものや奇妙なな経験をする話ばかり。

読んでいる最中も引き込まれるような不気味さで魅了されました。

最終的にどのような終着点になるのかワクワクしていました。

第5章では現代に戻り,物語の真相に迫ります。

 

私自身は美術に関して全くと言っていい程に知識がないのですが,

作中に出る岸田道生の作品である「夜行」とはどのようなものなにか,

見てみたくなるような表現がなされていました。

 

結果的にはこの世界はパラレルワールドのようになっており,

主人公がいる世界とは別の世界では長谷川さんではなく主人公が失踪したことに。

最後にそのことに気づいた主人公が中井さんに電話をするシーンがあるのですが,

これはいったいどちらの世界なのか。読み終わった後も考えさせてくれます。

 

世界はつねに夜なのよ

この言葉の余韻を味わせてくれる作品でした!

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

夜行 (小学館文庫)

夜行 (小学館文庫)

 

 

ではまたの機会でお会いしましょう!