活字紀行

自分自身に満足を。つらつらと書評ブログ。Twitter@sh1roha_468

難解ミステリーに挑戦したい人へ贈る一冊。【medium 霊媒探偵城塚翡翠】

こんにちはしろはです。

今回は『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢沙呼/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒として死者の言葉を伝えることができる。しかしそこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かう。一方、巷では連続殺人鬼が人々を脅かしていた。証拠を残さない殺人鬼を追い詰められるのは、翡翠の力のみ。だが殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた――。(本書より引用。)

 

人物紹介

香月史郎:推理作家。翡翠と共に難解殺人事件の解決にあたる。

城塚翡翠:霊能力者。死者の言葉を伝えることができる。

 

感想

今回は1人の作家と1人の不思議な力をもつ霊能者によるミステリー作品です。

一時期,話題になっていたこともありご存じな方も多いのではないでしょうか?

私自身もいつか読みたいなーとぼんやり思っていた矢先にAmazon Unlimitedの対象化へ。

いつも感謝しております!!!(笑)

ミステリー好きとしては本当に読むのが楽しみでしょうがなかったです。

 

読む前にそもそも"medium"ってどういう意味で付けたんだろう?と思いました。

"medium"の意味とは伝達などの手段や機関,媒介物や生活環境といった幅広い意味があります。(Weblio英和辞典参照。)

うーん,どの意図でタイトルにしたのかさっぱりわからん!諦めて読み始めることに。

 

読了後に感じた最初の感想はそんなのわかるか!!という感じでした(笑)

まだ読んでいない方はここで手を止めて是非一度読んで挑戦してみてほしいです!

 

この手のミステリー作品はネタバレにならないように書評を書くのが心苦しいですね。

否定的なレビューもあって少々不安でしたが,私は一杯食わされてしまいました。

作中にある"インタールード"を読む際には今後こういうことが起こりそうだなーとぼんやり思っていましたが,私もまだまだなようです。

 

ただ物語終盤では,え?そういう雰囲気の人なの?動揺が隠せませんでした。

このあたりに関しては,うーんなんだかなぁという感じでした。

私は結構感情移入しやすいタイプなので,自分があたかもその場にいるのではないかと感じてしまうほどでした。

このセリフは自分に言われているのでは?と思うと悔しくて堪りませんでしたが,結末が気になって読む手が止まらないほどでした。

 

結末としては少々後味の悪いものでしたが,アフターストーリーがまたいい味を出しています。

これもう色々とネタバレですよね・・・(笑)

読む予定のある方がこのブログに目を通していないことを願います。

 

著者の相沢沙呼さんは他に"小説の神様"を読んだことがあるのですが,あの作品とは大きく作風が違うにも関わらずスッキリと読めました。

こちらの作品はミステリー作品ではなく,学生ながらも小説を執筆する2人の男女学生に焦点が当たった作品ですね。

私みたいな活字オタクには堪らない作品ですので興味のある方はこちらもぜひ!

 

こんな方にオススメ

 

  • この作品について何も情報を入れていない方。
  • 純粋にミステリー作品が好きな方。
  • 難解事件を解き明かしたい方。

   

評価

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

正に,親の心子知らず・子の心親知らずを体現した一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『あの日,君は何をした』(まさきとしか/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。
15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。
刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。
『完璧な母親』で最注目の著者が放つ、慟哭のミステリー。(本書より引用。)

 

人物紹介

水野いづみ:水野家の母親。幸せな家族生活に幸せを噛みしめていた。

  克夫:父親。家族思いな父親だった。

  沙良:娘。新たな大学生活に思いを馳せていた。

  大樹:息子。沙良の弟。殺人事件の容疑者に間違われたことで事故死してしまう。

 

田所岳斗:警視庁戸塚警察署の新人刑事。

三ツ矢秀平:警視庁捜査一課殺人犯捜査第5係の刑事。変わり者と評される男。

 

感想

今回は全体が2部で構成された話となっています。

1部目は何気ない1家族に焦点を当て,幸せな家族生活から一転して生活が大きく狂わされていく様が描かれています。

2部目は 1部目から15年経過し,2人の刑事を視点とした話です。

 

1部目の話から2部目に移った時は何か関連があるんだろうなと感じますが,いったい何が関係しているのかは,最後の最後までわからないまま読み進めることとなります。

率直に言いますと,読了後の後味はあまり良くないです。

ただひたすらに不快感が残るのではなく,読者側に何か考える機会を与えてくれるのではないでしょうか。

私自身,まだ親になったことがなくそちらの考え方はよくわからない部分が多いということが感想でした。ただ,学生の頃には親にも迷惑をかけた身なので,少なからず当時の親には不安な気持ちにさせてんだろうなと。

 

毒親モンスターペアレントと近年では表現されるような母親が登場します。

親として子を心配し,自分の思うがままになってほしいと願う気持ちには共感できる部分もあるが,ふとした瞬間に感じるモンスターらしい執念にはゾッとする部分もあります。

1つの幸せな家庭が崩壊する原因となった息子の大樹の死,そして15年後に描かれる1つの殺人事件にどんな相関があるのか考えながら読んでほしい作品です。

 

こんな方にオススメ

 

  • イヤミスが好きな方。
  • 社会派ミステリー作品が好きな方。
  • "毒親"について今一度向き合いたい方。

  

評価

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

コーヒーを飲んでほっこり一息付きたくなるような一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『純喫茶トルンカ』(八木沢里志/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

「純喫茶トルンカ」は美味しいコーヒーが自慢のレトロな喫茶店
東京の下町にひっそり佇む店には、魔法にかけられたようなゆっくりとした時間が流れ、高校生の看板娘・立花雫の元気な声が響く。
ある日バイトの修一と雫が店に出ていると、女性客が来店。突然「あなたと前世で恋人同士だったんです」と修一に語りだし……。
孤独や悲しみを抱えた人々の心がやわらかくドリップされていく……。(本書より引用。)

 

人物紹介

奥山修一トルンカでバイトする大学生。

雪村千夏トルンカにやって来て突然,修一と前世で恋人関係にあったと告げる。

立花勲:喫茶店トルンカの店主。皆からはマスターと慕われる。

立花雫:マスターの娘。自称"トルンカの看板娘"

 

感想

今回は喫茶店トルンカという小さな喫茶店を舞台とした話です。

登場人物を紹介しましたが,本作品は3部で構成される三人称多元描写となっています。

随分とキャラの濃い登場人物が出てきますので中だるみすることなく読めると思います。

まぁ,会話ごとに格言を散りばめたような発言する人が現実にいたら疲れる気もしますが…(笑)

ただ,あくまでもこれは小説なので私はこういうのも大歓迎です。

 

3部作の中でも,私は2つ目の"再会の街"が一番好きでした。

上では紹介しなかった人物視点となっておりますので楽しんでいただけたらなと!

こういうほっこりとするような小説を片手に喫茶店でコーヒーを飲むのが私は何よりも好きでして…。最近は家で読む機会が増えてしまったのでまた行きたいなぁとなりました。

私も日々を面白いと感じたいから毎日をきちんと生きたいと思いましたね。

 

以前,同じ作者さんの作品で"きみと暮らせば"を読んだことがありますが,どちらもどこか心が温かくぽかぽかするような話となっております。

興味のある方はこちらもぜひ!私は下の作品の方がより好みでした。

sh1roha468.hatenablog.jp

 

今回紹介したのは小説に刺激を求めているような方にはあまりお勧めできませんが,日々に疲れ切って小説だけでも癒しを求めているような方にはオススメです!

ぜひ一杯のコーヒーを用意して読んでみてはいかがでしょうか?

 

評価

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

こういうのでいいんだよこういうので,な一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『ランチ酒』(原田ひ香/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。営業時間は夜から朝まで。ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終えた後の晩酌ならぬ「ランチ酒」。孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、離れて暮らす娘の幸せを願いながら、つかの間、最高のランチと酒に癒される……。今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯! 心を癒し、胃袋を刺激する絶品小説。(本書より引用。)

 

人物紹介

犬森祥子:"見守り屋"という仕事をこなす30代の女性。

営業時間は夜から朝までであり,仕事が終わるとお酒にご飯を嗜む。

 

感想・総括

今回は御飯やお酒といった食事が題材となった作品です。

私は表紙だけ見てすぐに読むことに決めましたが,読んでよかったと心から思います。

読み始めてから私の想像通りに某漫画を彷彿とさせるような食事シーンが描かれていたので,思わずにこういうのでいいんだよこういうので,と(笑)

この手の作品って,なんで読んでいるだけであんなにも幸せな気分になれるのでしょうか。

美味しそうな描写がこれでもかと描かれ,食事後に読書することの多い私でも思わずあれが食べたい,これが食べていと思わせるほど。

 

あ,肝心なことを触れ忘れていましたがこの作品は短編集となっています。

そのためちょっとした隙間時間でも素敵な食事シーンの想像ができます。

いやー,憎いですね本当に(笑)

この作品を読んでいる最中,何度食べ歩きしたいと思ったことか。

この"見守り屋"という不思議な仕事を通して人との触れ合いを感じられるのも好きです。

調べてみたら続編もあるようですね?

今度は読む時間も考えて続編に触れてみようと思います(笑)

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

この世の心理。

こんにちはしろはです。

今回はこの世の心理について持論をつらつらと書きたいと思います。

先月と変わってどうしたんだ?という感じですが,自分の思ったことを吐き出したい気分なんです。許してください(笑)

 

 

この題材について一言で表すと

さっそくですが,皆さんは好きこそものの上手なれという言葉はご存じですよね。

ここ最近,私はこのことわざって本当にいい言葉だと思うし深いなぁと思っています。

ひとまず,どういう意味なのか引用しますね。

どんなことであっても、人は好きなものに対しては熱心に努力するので、上達が早いということ。(故事ことわざ辞典より引用。)

正しい意味を引用してみてやはり深いなぁって改めて思いました。

 

私がそう思う理由・総括

私がそう思った経緯については,正直何がきっかけかはわかりませんが(?)昨今のオリンピック選手然り,SNS上で自身が制作したイラストや写真を載せている方々を見てですかね。

そういう方々って,何かしらのきっかけを経て自分がそこまで打ち込めるものに出会えたことだと思いますし,好きだからこそ継続できて1つの形として表れているんだなと。

私自身,プログラマーのような仕事をしていますが,楽しそうにプログラミングをして,俺のこのプログラム見てくれよ!って人を見ると叶わないぁって思いますね。

いかんせん,自分の好きなことに打ち込んでいる人はめちゃくちゃカッコいいです。

私はこれが好きだから続けるんだ,ってことがある人には是非背中を押して応援したいです。

周りの目を気にせず邁進してほしいです。

人の努力を否定せずに応援してあげられる人でありたいなと思いました。

 

以上,急に何言ってんだと思った方もいるかもしれませんが,閲覧くださりありがとうございました。

こういうふとしたタイミングで自分の考えをつらつら書けるのがブログの良い所ですね!

 

ミステリーではなく一人の少年の成長を綴った一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『昨日の海は』(近藤史恵/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

いつも通りの夏のはずだった。その事件のことを知るまでは……。海辺の小さな町で暮らす高校生・光介。夏休みに入ったある日、母の姉・芹とその娘の双葉がしばらく一緒に暮らすことになった。光介は芹から、心中と聞かされていた祖父母の死が、実は「どちらかがどちらかを殺した」無理心中事件であり、ここで生きていくために事実をはっきりさせたい、という決意を聞かされる。カメラマンであった祖父とそのモデルも務めていた祖母。二人の間にいったい何が起こったのか。残された写真が語るもの、関係者たちの歪んだ記憶、小さな嘘……。そして真相を追う光介が辿り着いた、衝撃的な事実とは……。(本書より引用。)

 

人物紹介

光介:演劇部に所属する高校一年生。

:光介の母親。姉の芹には恩を感じている。

亮介:光介の父親。旅館に勤務する。

:夢の姉であり,光介の叔母。ひょんなことから故郷の磯ノ森にやってきた。

双葉:芹の一人娘。光介の従姉妹にあたる8歳。

庸平:芹と夢の父親。有名な写真家だった。

華子:芹と夢の母親。モデルで庸平のポートレート役を担っていた。

 

感想・総括

今回は四国の磯ノ森という地を舞台とした青春ミステリーです。

青春ミステリーとはいうもののミステリー要素はそこまで強くなく,主人公である光介があるきっかけを経て成長する話ではないかなぁという印象を受けました。

 

光介の従姉妹である双葉とその親である芹が引っ越してきた所から物語は始まります。

初対面である双葉は8歳でありながらも大人っぽさを感じる言動が見受けられ,本当にこんな少女がいるのか?と思うほどでした。

田舎である磯ノ森で育った光介と,都会で育ったと思われる双葉を対照として表現するためなんでしょうね。ただ,所々に年相応な幼さがあって可愛らしいなと思いました。

 

読み始めは,年頃な少年が突如として複雑な家庭環境へと巻き込まれることで嫌な気持ちにさせてくるのではないかと構えておりましたが,そんなことは全く無く非常に読みやすかったです。

ミステリー要素は弱めであるため,ミステリーが読みたいという方には物足りないと思います。

 

この作品は光介の成長を綴った一冊であり,今後の指針を示すきっかけとなったのではないでしょうか。

あの初めて一人旅に行くドキドキとワクワク具合は何なんでしょうかね。

私も当時のことを懐かしく思うとともに,夢を追い求める方々を応援したいと思えるような作品でした。

完全に余談ですが,四国って一度も行ったことがないからいつの日か行ってみたいなぁとぼんやり思いました。

 

評価は 4.0/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう! 

息子がいる方に贈りたい一冊。

こんにちはしろはです。

今回は『明日の食卓』(椰月美智子/著)を紹介します。

※本文にはネタバレを含む場合がありますので,ご注意ください。

 

あらすじ

8歳の息子を育てる、環境も年齢も違う3人の母親たち。些細なことがきっかけで、幸せだった生活が少しずつ崩れていく。無意識に子どもに向けてしまう苛立ちと暴力。普通の家庭の光と闇を描く、衝撃の物語。(本書より引用。)

 

人物紹介

あすみ:習字教室やお菓子教室に通う母親。適度な距離を取って義母との関係を保つ。

:明朗快活な性格で行儀のよい息子。

 

留美:2人揃うと怪獣と化す2人の息子たちに手を焼く。フリーのライター。

悠宇:小学校3年生で巧巳の兄。巧巳によく手を出す。

巧巳:小学校1年生で悠の弟。悠宇とは場所問わずによくケンカになる。

 

加奈:コンビニと化粧品会社でのパートをこなす。シングルマザー。

:お金のない家庭に理解のあるような息子。

 

感想・総括

今回は3つの家庭を舞台とした息子にまつわる話です。

私は今回も表紙の絵を見てほんわかとした話なのかな?と何気なくこの本を選んでしまいましたが,読み始めて5分経って全然違う重い話じゃないかと気づきました。

 

端的に言うと,この作品には家庭内暴力が題材として取り入れられています。

私には息子はいないので親としてこの作品に触れたわけではありませんが,親ってこんなにも苦労が絶えない立場なんだなぁと痛感させられてしまいました。

軽い気持ちで読み始めてしまいましたが,リアルすぎて怖いほどでした。

途中で新聞の記事のような内容が急に登場するのですが,その時の衝撃さは読み終わった後でも忘れられませんでした。

そこから一体,どんな結末になるんだと怖いながらも読む手が止まりませんでした。

 

息子がいない私でもここまでのリアルさを感じさせてくれるのであれば,息子がいる方にとっては共感や衝撃等答えるものがあるのではないでしょうか?

息子ができるようなことがあれば,再び読んで教訓にしたいと思いました。

この作品,映画化されているんですね!

小説で読むのが大変だったのに映像で見たらと思うとゾッとしますけどね…。

 

評価は 4.5/5.0 とさせていただきます。

閲覧くださり,ありがとうございました。

気になった方は是非読んでみてください!

 

ではまたの機会にお会いしましょう!